ワーホリの費用は、出発前に必ず出ていくお金と、現地の収入で回収できるお金に分けて設計します。
前者はビザ申請料と残高証明とパスポートと航空券と保険で、金額が確定しているものが多く、後者は各国政府が決めた最低賃金と働ける時間の上限から天井が計算できます。
この記事では、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリスの4か国について、出ていく側と戻ってくる側の数字を分けて並べました。
あわせて、日本にいるあいだは意識しない住民税と国民年金が渡航中にどう動くかまで整理しています。
この記事でわかること
- 出発前に必ず出ていくお金の内訳と、4か国のビザ関連費用の実額
- 残高証明(required funds)が「使うお金」ではなく「見せるお金」である理由
- 期間を短くしても減らない費用と、期間に比例して減る費用の切り分け
- 最低賃金と法定の労働時間から計算した、1年で回収できる額の上限
- 税引き後の手取り。オーストラリアは雇い主の登録状況で源泉徴収率が変わる
- 日本側で出ていくお金。住民票を抜くかどうかで住民税と国民年金と国民健康保険が動く
- 年齢と参加回数の条件。30歳以上の扱いと、生涯2回参加できる国
- エージェント経由と個人手配で、費用のどこが増えてどこが減るか
ワーホリの費用の全体像。性質の違う3種類のお金
ワーホリの費用は、合計額をひとつの数字で覚えても意味がありません。
性質の違うお金が混ざっているからです。性質で3つに分けると、どこは削れてどこは削れないかがはっきりします。
- 金額が確定していて動かせないもの。ビザ申請料、パスポートの手数料、イギリスの医療保険料
- 政府が下限を決めているもの。残高証明で見せる所持金、現地の最低賃金
- 自分の選び方で動くもの。航空券、海外旅行保険、家賃、語学学校の週数、都市
1つ目は比較しても差がつきません。
誰が申請しても同じ額です。
2つ目は「持っていることを証明する」お金で、口座から消えるお金ではありません。
ここを支出と勘違いすると、必要な貯金額を数十万円多く見積もることになります。
3つ目だけが、調べるほど下がる余地のある部分です。
どの国にするかをまだ決めていない場合は、8か国の条件を横に並べた記事で、同一雇用主の上限や就学できる期間の差から先に絞ってください。
ワーキングホリデーの制度そのもの、協定を結んでいる32か国・地域の一覧、国ごとの参加条件はワーホリとは(協定32か国の条件・費用とエージェントの選び方)に整理しています。
この記事は、制度の話ではなく金額の設計に絞ります。
この記事で外貨を円に直していないのは、為替で答えが変わるからです。
たとえばオーストラリアのビザ申請料840豪ドルは、1豪ドル100円で計算すれば84,000円、95円なら79,800円になります。
見積もりは、自分が申請する日のレートで計算してください。
掲載額の更新が遅れている情報サイトを信じず、支払う直前に各国政府のページで確認するのが確実です。
出発前に必ず出ていくお金
出発前の支出は、ビザ関連、パスポート、航空券、保険の4つです。
このうち金額が公式に決まっているのはビザ関連とパスポートで、残りの2つは時期と選び方で動きます。
まずは確定している側から見ます。
4か国のビザ関連費用と残高の要件
| 比べる軸 | オーストラリア | カナダ | ニュージーランド | イギリス |
|---|---|---|---|---|
| ビザ申請の支払い | 840豪ドル(初回。2回目と3回目は1,000豪ドル) | 国際経験カナダ参加費184.75カナダドル、オープンワークパーミット保持者100カナダドル、生体認証が必要な場合85カナダドル | 770ニュージーランドドルから | 340ポンドと医療保険料(通常1年あたり776ポンド) |
| 見せる必要のある残高 | 通常5,000豪ドル。加えて出国用の航空券代 | 2,500カナダドル相当(出発の1週間前以降に発行された残高証明) | 4,200ニュージーランドドル以上。出国用の航空券またはその購入資金は別 | 2,530ポンド以上(28日連続で保有し、28日目が申請日の31日以内) |
| 医療保険の扱い | 要件ではなく強く推奨。医療費は全額自己負担と明記 | 滞在の全期間をカバーする保険が必須。治療、入院、本国への搬送を含む | 保険の証明を求められることがある | 申請時に医療保険料を支払う |
| 滞在できる期間 | 12か月 | 1回につき最長12か月 | 最長12か月 | 最長24か月 |
| 通学できる期間 | 最長4か月(17週) | 公式に上限の記載なし | 合計6か月まで | 制限の記載なし |
表は横にスクロールできます
出典: オーストラリア内務省のビザ要件 https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/work-holiday-417/first-working-holiday-417 および現行の価格表 https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/fees-and-charges/current-visa-pricing / カナダ移民・難民・市民権省の到着準備 https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/work-canada/iec/prepare-arrival.html および料金表 https://ircc.canada.ca/english/information/fees/fees.asp / ニュージーランド移民局 https://www.immigration.govt.nz/visas/japan-working-holiday-visa/ / 英国政府 https://www.gov.uk/youth-mobility および医療保険料の算定 https://www.gov.uk/healthcare-immigration-application/how-much-pay (いずれも2026年9月11日確認)
カナダだけ金額が3行に分かれているのは、料金表で項目が別々に立っているためです。
3つとも払う場合は369.75カナダドルになります。
生体認証が必要かどうかは案内で示されるので、招待を受けたあとに自分の必要額を確認してください。
オーストラリアの840豪ドルは、内務省が公開している現行の価格表で2026年9月11日に確認した初回申請の額です。
2回目と3回目の申請は1,000豪ドルで、初回より高く設定されています。
イギリスは申請料340ポンドとは別に医療保険料がかかり、公式ページの表記は1年あたり通常776ポンドです。
医療保険料は滞在期間に応じて計算され、英国政府の算定表では18か月を超えて2年までの申請は2年分になります。最長24か月のビザで申請すれば1,552ポンドです。申請料と合わせると1,892ポンドで、4か国のなかでは出発前の現金の出方がいちばん重い設計です。
残高証明の読み方。使うお金ではなく見せるお金
ここは取り違えやすい項目です。
オーストラリアの5,000豪ドル、ニュージーランドの4,200ニュージーランドドル、カナダの2,500カナダドル、イギリスの2,530ポンドは、いずれも口座に入っていることを示すためのお金で、申請時に支払うものではありません。
渡航後の生活費として自分で使います。
ただし、口座に入れておく期間の条件が国ごとに違います。イギリスは28日連続で2,530ポンド以上を保有し、その28日目が申請日から31日以内であることまで指定しています。カナダは逆で、出発の1週間前より後に発行された残高証明を入国時に見せます。
つまりイギリスは申請の1か月以上前から、カナダは出発の直前に、それぞれ残高を整えておく必要があります。
貯金の計画を立てるときは、金額だけでなく「いつの時点で」その額があればよいかまでセットで押さえてください。
オーストラリアとニュージーランドは、所持金とは別に帰りの航空券代を求めます。
オーストラリア内務省は、通常5,000豪ドル程度に加えて、オーストラリアを出たあとの行き先までの運賃が必要だと書いています。
ニュージーランド移民局も、生活費の4,200ニュージーランドドルとは別に、出国用の航空券か、それを買えるだけの資金の証明を求めるとしています。
手持ちが5,000豪ドルちょうどでは足りない、という意味です。
2026年7月に下がったパスポートの手数料
意外と知られていませんが、日本のパスポートの手数料は2026年7月1日の申請分から下がりました。
18歳以上が申請できる有効期間10年の旅券は、オンライン申請で15,900円から8,900円になっています。
ワーホリの費用を古い情報で見積もっている人は、この1項目で7,000円ぶん多く積んでいることになります。
一方で、手数料が下がったことで申請が集中しています。
外務省は、2026年7月1日以降の申請について、電子申請でも窓口申請でも、日本国内では申請が受領された日から交付まで3週間から1か月程度かかる可能性があると案内しています。
在外公館での申請はさらに時間がかかり、通常1か月のところ1か月半程度を見込むよう書かれています。パスポートは、費用ではなく日数で足を引っ張る項目です。行き先を決めるより先に、手元のパスポートの残存有効期間を確認してください。
出典: 外務省「旅券手数料改定 関連情報」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/pss/pagew_000001_02493.html / 外務省「パスポートの申請から受領まで」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/pass_2.html (2026年9月11日確認。
8,900円はオンライン申請の場合で、窓口申請は金額が異なります)
期間で変わる費用と、期間を短くしても減らない費用
「ワーホリは1年」と思われがちですが、ビザの有効期間いっぱい滞在する義務はありません。
3か月で帰っても6か月で帰っても構いません。
ただし、期間を半分にしても費用は半分になりません。
ここを分けて考えると、短期で試す判断がしやすくなります。
- 期間を短くしても減らないもの。ビザ申請料、パスポートの手数料、往復の航空券、出発前の準備にかかる時間
- 期間に比例して減るもの。家賃、食費、通信費、海外旅行保険の保険料、語学学校の授業料
- 期間を短くすると相対的に重くなるもの。渡航1回あたりの固定費。3か月で帰ると、固定費を3か月で割ることになります
たとえばオーストラリアなら、ビザ840豪ドルとパスポート8,900円と往復航空券は、3か月でも12か月でも同じです。
逆に、現地で働いて回収できる額は滞在が長いほど積み上がります。短く行くほど「出ていくお金だけ払って、戻ってくるお金は薄い」構造になります。費用面だけで見れば、ワーホリは期間が長いほど1か月あたりの負担が軽くなる制度です。
そのうえで、期間には制度側の上限があります。
オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは12か月、イギリスは24か月です。
通学できる期間の上限も別にあり、オーストラリアは4か月(17週)、ニュージーランドは合計6か月までと決められています。
語学学校に長く通う計画は、この上限に当たります。
カナダは1回につき最長12か月ですが、日本国籍の人は生涯2回参加できるため、間を空けて2回に分けるという設計も取れます。
現地でどこまで回収できるか。最低賃金と労働時間の上限で天井を出す
いくら稼げるかは、職種と都市と時期で変わるので誰にも断定できません。
ただし下限は法律で決まっていて、各国政府が公表しています。そこに「週に何時間働くのが法定の基準か」を掛ければ、最低賃金で法定の時間だけ働いた場合の天井が計算できます。
実際の収入を保証する数字ではありませんが、予算を組むときの上の線としては使えます。
| 国・地域 | 時給の下限 | 週の基準時間または上限 | 週あたり | 52週分 |
|---|---|---|---|---|
| オーストラリア(常勤) | 26.44豪ドル | 38時間(全国最低賃金の算定基準) | 1,004.90豪ドル | 52,254.80豪ドル |
| オーストラリア(カジュアル雇用) | 33.05豪ドル(25パーセントの割増込み) | 38時間 | 1,255.90豪ドル | 65,306.80豪ドル |
| ニュージーランド | 23.95ニュージーランドドル | 40時間(政府の賃金表の基準) | 958ニュージーランドドル | 49,816ニュージーランドドル |
| カナダ・ブリティッシュコロンビア州 | 18.25カナダドル | 40時間で計算 | 730カナダドル | 37,960カナダドル |
| カナダ・オンタリオ州 | 17.95カナダドル(2026年10月1日から。それ以前は17.60カナダドル) | 週48時間が上限。40時間で計算 | 718カナダドル | 37,336カナダドル |
| イギリス(21歳以上) | 12.71ポンド | 週48時間が上限(17週の平均)。40時間で計算 | 508.40ポンド | 26,436.80ポンド |
表は横にスクロールできます
出典: 公正労働委員会(Fair Work Commission)2026年年次賃金審査決定 https://www.fwc.gov.au/documents/resources/2026fwcfb3500.pdf / ニュージーランド政府 https://www.employment.govt.nz/pay-and-hours/pay-and-wages/minimum-wage/minimum-wage-rates-and-types / ブリティッシュコロンビア州政府 https://www2.gov.bc.ca/gov/content/employment-business/employment-standards-advice/employment-standards/wages/minimum-wage / オンタリオ州政府の最低賃金 https://www.ontario.ca/document/your-guide-employment-standards-act-0/minimum-wage と労働時間 https://www.ontario.ca/document/your-guide-employment-standards-act-0/hours-work / 英国政府 https://www.gov.uk/national-minimum-wage-rates と https://www.gov.uk/maximum-weekly-working-hours (2026年9月11日確認。
週あたりと52週分は編集部が公式の時給と基準時間から計算した値です)
オーストラリアの全国最低賃金は、2026年7月1日から週1,004.90豪ドル、時給26.44豪ドルです。
この週額は38時間を基準に算定されています。
決定文には、協約や職種別賃金の適用を受けない労働者へのカジュアル割増が25パーセントと明記されているので、カジュアル雇用なら時給は33.05豪ドルになります。ワーホリで最初に就く仕事はカジュアル雇用が中心なので、実務ではこの割増込みの水準から始まることが多くなります。ただしカジュアル雇用には有給休暇がなく、シフトが減れば収入も減ります。
割増はその代わりです。
52週という数字はあくまで天井です。
到着してすぐ働けるわけではなく、口座開設と納税者番号の取得と仕事探しに数週間かかります。
旅行にも行くでしょう。
現実的な週数を自分で決めて掛け直してください。
たとえばオーストラリアで40週なら、常勤の最低賃金で40,196豪ドルという計算になります。
オーストラリアは、同じ雇用主のもとで働ける期間が通常6か月までです。
1年通して働くなら、少なくとも2つの職場を経験することになります。
ニュージーランドは永続的な仕事に就けない制度で、公式ページにもそう書かれています。
1年同じ店で働いて安定した収入を積む、という前提では組めません。
収入の見込みを立てるときは、職場が変わる期間の空白も見ておいてください。
税と年金を引いたあとの手取りはいくらか
上の表は税引き前です。
ここからが、ワーホリの費用記事であまり書かれていない部分です。同じ時給で同じ時間働いても、手取りは国と雇い主の登録状況で変わります。
オーストラリアの税率と、雇い主の登録の有無
オーストラリア国税庁は、ワーキングホリデーメーカー(417と462のビザ保持者)について専用の税率を定めています。
課税所得45,000豪ドルまでは1豪ドルにつき15セント、つまり15パーセントです。
45,001豪ドルから135,000豪ドルまでは6,750豪ドルに超過分の30パーセントを加えた額になります。
国税庁のページに掲載されている最新の表は2025年から2026年の年度分です。
問題はその先です。
国税庁は、この15パーセントの源泉徴収が適用されるのは、雇い主がワーキングホリデーメーカーの雇用主として国税庁に登録している場合だと明記しています。
登録していない雇い主は、外国居住者の税率である30パーセントから源泉徴収しなければなりません。
国税庁が挙げている例では、同じ週給1,000豪ドルに対して、登録済みの雇い主なら150豪ドル、未登録なら300豪ドルが引かれます。時給が同じでも、手取りが週150豪ドル違うということです。面接で確認すべき項目が1つ増えます。
納税者番号(TFN)も忘れずに取ります。
国税庁は、TFNを持つ義務はないが、持たないと税金が高くなると書いています。
オーストラリアの年度は7月1日から翌年6月30日までで、ワーホリの給与所得だけで課税所得が45,001豪ドル未満なら確定申告は不要とされています。
出典: オーストラリア国税庁「Working holiday makers」 https://www.ato.gov.au/individuals-and-families/coming-to-australia-or-going-overseas/coming-to-australia/working-holiday-makers / 同庁のワーキングホリデーメーカー向け税率表 https://www.ato.gov.au/tax-rates-and-codes/tax-rates-working-holiday-makers (2026年9月11日確認)
最低賃金の常勤で52週働いた場合の52,254.80豪ドルに、この税率をあてはめてみます。
45,000豪ドルまでで6,750豪ドル、残りの7,254.80豪ドルに30パーセントで2,176.44豪ドル。
合計8,926.44豪ドルが税額で、手取りは43,328.36豪ドルです。
天井の数字から約17パーセントが引かれる計算になります。
帰国後に戻る年金と、65パーセントの税率
オーストラリアでは、一定額以上を稼いだ従業員の年金口座(スーパーアニュエーション)に雇い主が掛金を払う義務があり、ワーホリの人も対象です。
帰国後に「departing Australia superannuation payment(DASP)」として払い戻しを申請できます。
ここまでは得な話に見えますが、国税庁は2017年7月1日以降にワーキングホリデーメーカーへ支払われるDASPの税率は65パーセントだと明記しています。
課税対象部分の35パーセントしか手元に残らない計算なので、予算の当てにはしないほうが安全です。
イギリスの所得税と国民保険料
イギリスは、日本と同じように所得から差し引かれる仕組みが2つあります。
所得税は、2026年4月6日から2027年4月5日の年度で、基礎控除(パーソナルアローワンス)が12,570ポンド、12,571ポンドから50,270ポンドまでが20パーセントです。
国民保険料は、カテゴリーAの場合、週242.01ポンドから967ポンドまでの部分に8パーセントがかかります。
最低賃金で週40時間、52週働いた場合の26,436.80ポンドで計算します。
所得税は、12,570ポンドを引いた13,866.80ポンドに20パーセントで2,773.36ポンド。
国民保険料は、週508.40ポンドから242ポンドを引いた266.40ポンドに8パーセントで週21.31ポンド、52週で1,108.22ポンドです。
手取りは22,555.22ポンドになります。
出発前に払った申請料340ポンドと医療保険料1,552ポンドを差し引いて考えると、実際に手元に残る額はさらに下がります。
出典: 英国政府「Income Tax rates and Personal Allowances」 https://www.gov.uk/income-tax-rates /「National Insurance rates and categories」 https://www.gov.uk/national-insurance-rates-letters (2026年9月11日確認。
金額は編集部が公式の税率と最低賃金から計算した値です)
ニュージーランドも、働くにはIRD番号(納税者番号)が必要です。
移民局のページに、税金を払うには内国歳入庁からIRD番号を取る必要があると書かれています。オーストラリアもニュージーランドも、番号を取らないまま働くと税率で損をします。到着後の最初の1週間でやることの筆頭です。
日本側で出ていくお金。住民票を抜くかどうかで変わる3つ
ここは、渡航先の費用ばかり調べていると抜け落ちる部分です。
1年海外にいるあいだも、日本側では住民税と国民年金と国民健康保険が動きます。海外転出届を出すかどうかで、この3つの扱いが変わります。
住民税はいつ、いくら請求されるか
住民税は、その年の1月1日時点で住民票がある自治体が、前年の所得に対して課税します。
年の途中で国外に転出しても、その年度の税額は変わりません。
東京都中央区は、令和8年3月に国外転出する場合は令和8年1月1日に住民票があるので令和8年度の住民税の課税対象になる、という例まで載せています。
つまり、3月に出発する人は、渡航中に前年の所得に対する住民税の納付書が届きます。
中央区は、区内に住所がなくなる人は納税管理人申告書を提出しなければならないとしています。
届出をしないまま出国すると納税通知書を送れず、公示送達という手続きが取られ、納期限を過ぎると督促状と延滞金が発生することがあると書かれています。出国前に納税管理人を決めておかないと、帰国後に延滞金という形で費用が増えます。
出典: 東京都中央区「国外転出するときの個人住民税の手続き」 https://www.city.chuo.lg.jp/a0009/kurashi/zeikin/juuminzei/kokugaitennsilyutusurutoki.html (2026年9月11日確認。
取り扱いは自治体で細部が異なるため、住民票のある市区町村でも確認してください)
国民年金。払い続けるか止めるかの選択
海外に転出すると、国民年金の強制加入の対象ではなくなります。
千葉県船橋市の説明では、第1号被保険者が海外に転出する場合、資格を喪失するか、海外任意加入をして支払いを続けるかを選べます。
任意加入はさかのぼって加入できないので、転出と同時に希望するなら転出日と同じ月のうちに手続きが必要です。
保険料は、令和8年度(2026年4月から2027年3月まで)で月額17,920円です。
1年間任意加入を続けると215,040円になります。
止めればこの支出はゼロですが、その期間は将来の老齢基礎年金の額に反映されません。
加えて、海外にいるあいだに亡くなったり障害が残ったりした場合の遺族基礎年金と障害基礎年金も、任意加入して保険料を納めていることが前提になります。年間21万円強を「保険料」として見るか「1年ぶんの年金記録」として見るかの判断です。金額が大きいので、渡航費の見積もりに必ず1行入れてください。
出典: 日本年金機構「国民年金の保険料はいくらですか。」 https://www.nenkin.go.jp/section/faq/kokunen/seido/hokenryo/seidosetsumei/20150331.html / 船橋市「海外へ転出・海外から転入するとき(年金)」 https://www.city.funabashi.lg.jp/kurashi/nenkin/002/p010287.html (2026年9月11日確認)
滞在期間で変わる国民健康保険の扱い
東京都日野市は、国民健康保険に加入していて1年以上国外に住むため転出の届出をする人を対象に、脱退の手続きを案内しています。
国外での滞在が1年に満たない場合は転出の届出は不要とされています。
住民票の手続きと同時に、転出日をもって資格を喪失します。
1年のワーホリで転出届を出すと、保険料の負担はなくなりますが、一時帰国したときに健康保険がない状態になります。
逆に住民票を残せば保険は使えますが、保険料は払い続けます。
どちらが得かは滞在期間と一時帰国の予定で変わるので、市区町村の窓口で自分の日程を伝えて確認するのが確実です。3か月や6か月の短いワーホリなら、そもそも転出届を出さない選択もあります。
出典: 日野市「国民健康保険を脱退する届出(海外転出)」 https://www.city.hino.lg.jp/kurashi/kokuhonenkin/1023198/1026770/1026793.html (2026年9月11日確認。
要件と手続きは自治体で異なります)
住民票を残す場合でも、3か月以上海外に住むなら在留届の提出は義務です。
外務省は、旅券法第16条により、住所または居所を管轄する日本国大使館または総領事館に在留届を提出する義務があると明記しています。
在留届電子届出システム(ORRnet)でオンライン提出できます。
費用はかかりませんが、緊急時の連絡先になるので出しておいてください。
出典: 外務省「ワーキング・ホリデー制度」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/working_h.html (2026年9月11日確認)
年齢と参加回数の条件。30歳以上はどうなるか
費用の計算をする前に、そもそも申請できるかを確かめます。
外務省は主な発給要件として、査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であることを挙げています。
オーストラリア、カナダ、韓国、アイルランドとの間では18歳以上25歳以下だが、各々の政府当局が認める場合は30歳以下まで申請できる、という注記が付いています。
実務では、オーストラリアもニュージーランドもイギリスも、日本国籍の人は18歳から30歳です。
「30歳以上」で検索する人が知りたいのは、たいてい「30歳のうちに間に合うか」です。申請の時点で30歳なら受け付けられますが、締切の数え方は国で違います。オーストラリア内務省は、日本のパスポート保持者を18歳から30歳としたうえで、申請の締切は31歳の誕生日の前日の深夜(オーストラリア東部標準時または東部夏時間)だと書いています。
国外から申請する場合もこの時刻が基準で、時差があるため日本での誕生日の終わりとはずれます。
30歳で申請するなら、日付ではなく現地時刻で逆算してください。
同じページには、30歳で申請したあとに審査中に31歳になっても、他の要件を満たしていればビザを発給できると書かれています。
締切は「申請した時点」で見るという意味です。誕生日の当日に申請するのは避けるように、とも書かれています。31歳になってから申請することは4か国ともできないので、その場合は語学留学や就労ビザなど別のルートを検討することになります。
回数についても更新があります。
外務省は制度の一部見直しを進めており、日本人はカナダ、スロバキア、韓国、台湾で一生涯2回参加できます。
イギリスは2008年からユース・モビリティ・スキームで最長2年間の滞在が認められています。
一方、オーストラリアとニュージーランドは、過去にその国のワーキングホリデービザを取得していないことが要件です。
費用の面で言えば、カナダは1回目と2回目で参加費を2度払うことになります。
出典: 外務省「ワーキング・ホリデー制度」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/working_h.html (令和8年4月1日現在の内容)/ オーストラリア内務省「First Working Holiday visa」 https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/work-holiday-417/first-working-holiday-417 (いずれも2026年9月11日確認)
行き先が2つか3つまで絞れたら、あとは見積もりを取って比べる段階です。
国と期間を決めるところで迷っているなら、実際のプランと料金を見ながら逆算するほうが早く終わります。国別のワーホリプランと料金を確認する
エージェント経由と個人手配で、費用のどこが変わるか
ビザの申請そのものは、4か国ともオンラインで自分でできます。
外務省も、現在ワーキングホリデー制度の実施に際して連携・協力している民間団体はないと明記したうえで、申請代行業者を通す場合でも書類の準備を任せきりにせず、渡航先の政府機関や駐日大使館の情報を自分で確認するよう促しています。
エージェントに払うお金は、ビザの対価ではありません。
パッケージ料金に何が入っているかを項目で読む
エージェントの費用を「サポート料がいくらか」で比べても、比較になりません。
同じ金額でも含まれる範囲が違うからです。
実額で見たほうが早いので、公式サイトに料金を掲載している例を挙げます。
ISS留学ライフのオーストラリア・ケアンズのワーキングホリデープランは、2026年9月11日時点で4週間496,000円、8週間698,000円、12週間896,000円と表示されています(旅行代金。
税の内訳の記載はありません)。
重要なのは金額より内訳です。
同じページに、代金に含まれるものとして申込金70,000円、入学金、授業料、教材費、最初の4週間の滞在費、空港片道送迎が挙げられています。
含まれないものとして、往復航空券、航空券にかかる諸税、海外留学保険、自由行動中の費用が明示されています。つまり4週間496,000円は「語学学校と最初の1か月の滞在先と片道送迎」の値段で、航空券と保険は別に用意します。この粒度で書かれていれば、個人手配の合計と正面から比べられます。
出典: ISS留学ライフ「オーストラリア ケアンズ ワーキングホリデープラン」 https://www.iss-ryugakulife.com/plan/a-wh3.html (2026年9月11日確認。
掲載価格は申込日や為替により変わると注記されています)
「無料」と書かれた範囲に付く条件
もうひとつ読むべきなのが注記です。
ウィッシュインターナショナルは、留学相談とイベントとセミナーは無料で何度でも参加できるとしたうえで、サポート一覧の末尾に、サポートはサポートオフィスのある都市に限られること、参加するプログラムや渡航先で内容が変わること、そして「項目によっては有料となることがあります」と書いています。無料の範囲は都市とプログラムで変わる、と公式に明記されているということです。これは不親切ではなく、むしろ契約前に読めるだけ誠実な書き方です。
契約前に、自分の行き先で何が無料かを名指しで確認してください。
エージェント各社の手数料の考え方とサポート範囲を項目ごとに並べた比較は、留学エージェントの選び方(無料と有料の違いと手数料)にまとめています。
ワーホリに対応した2社の比較
| サービス | 形態 | 料金の出し方 | 現地のサポート | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| ISS留学ライフ | 留学エージェント(観光庁長官登録旅行業第1148号) | プランごとに旅行代金を公開。含むものと含まないものを項目で明示 | 公式サイトの記載で世界12か国22都市の現地オフィス | 先に総額の内訳を数字で確かめたい人 |
| ウィッシュインターナショナル | 留学エージェント(観光庁長官登録旅行業第1361号) | 公式サイトで確認。相談とセミナーは無料 | 海外13か国23都市のサポートオフィスに日本人スタッフが常駐 | 現地で日本語で相談できる先を確保したい人 |
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出典: ISS留学ライフ会社概要 https://www.iss-ryugakulife.com/company/ / ウィッシュインターナショナル「WISHの留学サポート」 https://www.wish.co.jp/support/ および「ワーキングホリデー」 https://www.wish.co.jp/purpose/working-holiday/ (2026年9月11日確認)
ISS留学ライフ
- 運営は株式会社国際交流センター。1990年12月設立で、株主は株式会社Z会ホールディングス100パーセント。観光庁長官登録旅行業第1148号、留学サービス審査機構(J-CROSS)の認証事業者
- ワーキングホリデープランの料金をプランごとに公開。ケアンズのプランは4週間496,000円から12週間896,000円で、申込金70,000円と入学金と授業料と最初の4週間の滞在費と空港片道送迎を含み、航空券と保険は含まない(2026年9月11日確認。旅行代金として表示)
- 公式サイトの記載では現地オフィスが世界12か国22都市、提携語学学校が28か国1,200校。国内の支店は東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の5拠点(2026年9月11日確認)
向いている人: 見積もりを取り直す前に、何にいくら払うのかを項目で確かめたい人
ウィッシュインターナショナル
- 観光庁長官登録旅行業第1361号。公式サイトに日本旅行業協会(JATA)正会員、海外留学協議会(JAOS)正会員、留学サービス審査機構(J-CROSS)の記載(2026年9月11日確認)
- 海外13か国23都市のサポートオフィスに日本人スタッフが常駐。病気や怪我や盗難に24時間日本語で連絡できるダイヤルを用意(2026年9月11日確認)
- 長期滞在者向けに、在留届の提出手続きのサポート、銀行口座開設のアドバイス、ワーキングホリデーのみ納税者番号の取得の案内と英文・日本文の履歴書作成のサポートを掲載
向いている人: 到着直後の口座開設と納税者番号の手続きを、日本語で確認しながら進めたい人
費用を削る順番と、削ってはいけないもの
予算が足りないときに手を付ける順番があります。
上から順に検討して、下の2つには触らないでください。
- 語学学校の週数。授業料は週単位なので、いちばん効きます。ただし現地で友人と情報源を作る機能があるので、ゼロにするかは慎重に
- 都市。同じ国でも最低賃金と家賃が違います。カナダはブリティッシュコロンビア州18.25カナダドルに対しオンタリオ州17.60カナダドル(2026年10月1日から17.95カナダドル)で、州が変われば時給の下限も変わります
- 渡航の時期。航空券の価格は時期で動きます。金額は日々変わるので、この記事では目安を書きません。実際の日付で検索して比べてください
- 滞在先。最初の数週間だけホームステイにして、その後シェアに移すのが一般的な組み方です
- 削ってはいけないもの1。保険。カナダは到着時に提示する書類のひとつで、治療と入院と本国への搬送を含み、滞在の全期間をカバーしている必要があります。オーストラリア内務省も、医療費は全額自己負担になると明記したうえで保険を強く推奨しています
- 削ってはいけないもの2。帰りの航空券の資金。オーストラリアもニュージーランドも、所持金とは別枠で求めています
語学学校を削る判断をするなら、渡航前に話す量を確保しておく代わりの手があります。
オンラインのレッスンは月額で比べられるので、期間と金額を先に決めやすい選択肢です。
各社の公式料金を並べた比較はオンライン英会話おすすめ8社比較にまとめています。
外務省は、ワーキングホリデーで渡航した人から「不当に安い賃金で働かされた」「雇用主等からセクハラやパワハラを受けた」という情報が寄せられていると注意を促しています。
この記事に載せた最低賃金は、外国籍でも適用される権利です。
提示された条件が明らかに下回る場合は、現地政府の相談窓口を調べてください。
費用を抑えることと、低い条件を受け入れることは別の話です。
よくある質問
ワーホリの費用は全部でいくらですか
1つの数字では答えられません。
確定しているのはビザ関連とパスポートで、オーストラリアなら840豪ドルと8,900円(オンライン申請の10年旅券)です。
これに航空券と保険と現地の生活費が乗りますが、この3つは時期と都市と選び方で動くので、この記事では推測の数字を書きません。
代わりに、確定分を先に積み、残高証明の額を貯金目標に置き、現地の収入見込みを最低賃金から計算する、という順番で自分の数字を作ってください。
所持金は使ってしまってもいいのですか
残高証明で見せる所持金は、申請時に支払うお金ではありません。
渡航後の生活費として使います。
ただし、カナダは入国時に出発の1週間前以降に発行された残高証明を見せるので、出発直前に残高を減らすと入国の場面で困ります。
イギリスは申請前の28日間、連続して2,530ポンド以上を保有している必要があります。
使うタイミングだけ注意してください。
ワーホリは何歳まで申請できますか。30歳以上でも行けますか
外務省は査証申請時の年齢を18歳以上30歳以下としています。
30歳のうちなら申請できますが、31歳以上は対象外です。
オーストラリアは31歳の誕生日の前日の深夜(現地時間)が締切で、時差があるため日本の誕生日の終わりとはずれます。
30歳で検討しているなら、行き先を1つに絞って、その国の締切の数え方を先に確認してください。
1年でどれくらい回収できますか
職種と労働時間で変わるので断定できません。
ただし最低賃金と法定の基準時間から天井は計算できます。
オーストラリアの全国最低賃金で週38時間、52週なら52,254.80豪ドル、カジュアル雇用の割増込みなら65,306.80豪ドルです。
ここから税が引かれ、常勤の場合の手取りは43,328.36豪ドルという計算になります。
実際は仕事探しの期間があるので、自分が働けそうな週数を決めて掛け直してください。
住民票は抜いたほうが得ですか
滞在期間と一時帰国の予定によります。
抜けば国民健康保険の保険料はなくなり、国民年金も強制加入ではなくなります。
ただし住民税は1月1日時点で住民票がある自治体が課税するので、年明けに出発する人はその年度の住民税を払います。
抜かなければ保険は使えますが、保険料は払い続けます。
1年未満の滞在なら転出届そのものが不要な自治体もあるので、住民票のある市区町村で日程を伝えて確認してください。
エージェントには必ずお金を払う必要がありますか
ありません。
ビザ申請は4か国ともオンラインで自分でできます。
エージェントに払うのは、学校の手配、滞在先、現地サポート、帰国後の相談などに対する費用です。
使うかどうかは、自分でどこまで調べて手配できるかで決めてください。
使う場合は、金額より「その額に何が含まれていて何が含まれていないか」を項目で確認するほうが確実です。
まとめ
見積もりを作る前に、この6つを確かめてください
- ビザ関連の確定額。オーストラリア840豪ドル、カナダは参加費184.75カナダドルほか、ニュージーランド770ニュージーランドドルから、イギリス340ポンドと医療保険料776ポンド(いずれも2026年9月11日確認)
- 残高証明は支出ではなく、見せるお金。国ごとに保有期間の条件が違う
- パスポートは2026年7月1日申請分から10年旅券がオンライン申請8,900円に。ただし交付まで3週間から1か月かかる可能性がある
- 回収の天井は最低賃金と法定の基準時間で計算できる。実際は働ける週数を自分で決めて掛け直す
- 手取りは税で変わる。オーストラリアは雇い主がワーキングホリデーメーカーの雇用主として登録しているかどうかで源泉徴収が15パーセントと30パーセントに分かれる
- 日本側の住民税と国民年金と国民健康保険。国民年金を任意加入で続けるなら令和8年度で月額17,920円
ワーホリの費用が読みにくいのは、性質の違うお金が1つの合計に押し込められているからです。
確定している出費、見せるだけのお金、自分で動かせる出費、現地で戻ってくるお金。
この4つに分けて表を作れば、行き先を変えたときにどこが動くかが一目で分かります。
まず行き先を1つか2つに絞り、この記事の表の数字を自分の期間で置き換えるところから始めてください。