採用ピッチ資料とは?載せる項目・作り方・使い方を採用担当向けに解説

採用ピッチ資料とは? 採用漫画

「採用ピッチ資料を作ってほしい」と言われたものの、何を載せればいいのか、会社説明会のスライドと何が違うのか、どう上に説明すればいいのか分からない。
この記事は、そんな採用担当者のための実務ガイドです。
読み終えるころには、載せる項目の一覧、作る順番、社内を説得する材料、作ったあとの使い方と更新の回し方まで、自社で判断できる状態になっているはずです。

運営:株式会社BARD(コミリク運営)。
採用漫画制作サービス「コミリク」で、企業の採用ページやスカウト導線に載せる漫画コンテンツの企画・制作を行っています。

この記事でわかること

  • 採用ピッチ資料の定義と、会社説明資料・求人票・採用サイトとの違い
  • 載せる項目の一覧と、候補者がそれぞれで知りたいこと
  • 労働条件の明示ルールや若者雇用促進法の職場情報との関係
  • 作り方の7ステップと、上長・経営層に説明するときの材料
  • スカウト・説明会・面談・採用サイトでの使い分けと、更新の回し方
  1. 採用ピッチ資料とは?
    1. 会社説明資料・求人票・採用サイトとの違い
    2. 採用ピッチ資料を作る目的
  2. 採用ピッチ資料に載せる項目
    1. 会社の目的と事業
    2. 組織と働き方
    3. 制度と課題
    4. 求める人物と選考フロー
  3. 採用ピッチ資料と労働条件の明示ルールの関係
    1. 2024年4月施行の労働条件明示ルールの改正
    2. 若者雇用促進法にもとづく職場情報の提供
    3. 資料に載せるときに気をつけたいこと
  4. 採用ピッチ資料の作り方【7ステップ】
    1. ステップ1: 目的と使う場面を決める
    2. ステップ2: 読んでほしい候補者像を決める
    3. ステップ3: 社内から材料を集める
    4. ステップ4: 魅力と課題を洗い出す
    5. ステップ5: 構成と目次を決める
    6. ステップ6: 文章とスライドに落とし込む
    7. ステップ7: 社内レビューと公開前チェック
  5. 上長・経営層に採用ピッチ資料を説明するときの材料
    1. 企画書に入れる5つの項目
    2. 効果の見込みを自社の数字で示す
    3. 反対されやすいポイントへの答え方
  6. 採用ピッチ資料を使う場面と使い分け
    1. スカウトで使う
    2. 説明会で使う
    3. 面談・面接の前に送る
    4. 採用サイトに置く
  7. 採用ピッチ資料の更新と運用のルール
    1. 更新のきっかけを決める
    2. 更新の担当と版の管理
    3. 候補者の反応を集めて直す
  8. 文字とスライドでは伝わりにくい部分の補い方
  9. よくある質問
    1. Q. 採用ピッチ資料は何ページくらいが目安ですか?
    2. Q. 採用ピッチ資料は一般公開したほうがいいですか?
    3. Q. 新卒向けと中途向けで資料を分けるべきですか?
    4. Q. 給与や残業時間などの数字はどこまで載せるべきですか?
    5. Q. 社内で作るのと外部に頼むのは、どう判断すればいいですか?
    6. Q. 作ったあと、効果はどうやって確かめればいいですか?
  10. まとめ

採用ピッチ資料とは?

採用ピッチ資料とは、候補者に向けて会社の目的・事業・組織・働き方・制度・求める人物・選考フローをひとまとまりで伝える、スライド形式の会社紹介資料です。
「ピッチ」は短い時間で要点を伝える発表を指す言葉で、その考え方を採用に持ち込んだ資料です。

呼び方は会社によってさまざまで、「採用ピッチ」「カルチャーデック」「会社紹介資料(採用向け)」と呼ばれることもあります。
名前よりも中身で見分けたほうが早く、ポイントは2つ。
1つは、読む相手が「投資家や取引先」ではなく「候補者」であること。
もう1つは、良い面だけでなく課題や合わない人まで書くことです。
候補者が「自分はこの会社で働けそうか」を判断できる材料を、会社の側から先に出しておく資料だと考えると分かりやすくなります。

会社説明資料・求人票・採用サイトとの違い

社内で企画を通すとき、最初に聞かれやすいのが「今ある資料と何が違うのか」です。
似たものと並べると、役割の違いが見えてきます。

資料 主な読み手 役割
会社説明資料(営業・IR向け) 取引先・投資家 事業の強みと実績を伝える
求人票・募集要項 応募を考えている人 仕事内容・給与・勤務地など条件を正確に示す
採用サイト 検索や紹介で来た人 常設の入口として、社員や仕事を広く見せる
採用ピッチ資料 選考の前後にいる候補者 会社の全体像と課題を一度で渡し、判断を助ける

※当社が一般的な使われ方から整理した目安です。
会社によって役割の分け方は異なります。

求人票は条件を正確に伝えるための書類で、書ける量も形式も決まっています。
採用サイトは入口としては強い一方、ページが分かれているぶん、候補者は自分で拾い読みすることになります。
採用ピッチ資料はその間を埋めるもので、「この順番で読めば会社の全体像がつかめる」という1本の筋を、会社の側が用意する点に意味があります。

採用ピッチ資料を作る目的

作る目的は、だいたい次の4つに分かれます。
どれを一番に置くかで、載せる項目の濃さが変わります。

  • 候補者の判断材料をそろえ、入社後の「聞いていた話と違う」を減らす
  • 面談・面接で毎回くり返している会社説明の時間を短くし、質疑に時間を回す
  • 面接官や紹介者によって説明の中身がぶれるのを防ぐ
  • スカウトや採用サイトから「もう少し詳しく知りたい」人の受け皿をつくる

目的がはっきりしないまま作り始めると、全部を少しずつ載せた、読む理由の弱い資料になりがちです。
最初に「この資料で何を減らしたいのか、何を増やしたいのか」を1文で書いておくと、後の作業が楽になります。

採用ピッチ資料に載せる項目

載せる項目は、大きく「会社」「組織と働き方」「募集と選考」の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
すべてを載せる必要はなく、目的と候補者像に合わせて選びます。

項目 中身の例 候補者が知りたいこと
会社の目的 ミッション、目指している状態、創業の経緯 何のための会社か。自分の考えと合うか
事業 誰に何を提供しているか、収益の柱、これからの計画 事業は続きそうか。自分の仕事がどこにつながるか
組織 人数、部署構成、年齢や経歴の分布、意思決定の流れ どんな人たちと働くのか。上司は誰か
働き方 1日の流れ、勤務場所、リモートの可否、繁忙期 自分の生活と両立できるか
制度 評価、昇給の仕組み、休暇、研修、福利厚生 どうすれば評価されるか。成長の機会はあるか
課題 いま困っていること、足りていない役割 入ったら何を任されるか。良い面だけでないか
求める人物 一緒に働きたい人、合わないかもしれない人 自分は当てはまるか
選考フロー 選考の回数、期間、面接官、見ているポイント どれくらいで結果が出るか。何を準備すればよいか

※当社が一般的な構成から整理した項目例です。

会社の目的と事業

冒頭に置くのは、会社が何のためにあり、どうやって成り立っているかです。
ミッションの言葉だけを大きく載せても、候補者にはまだ響きません。
「誰の、どんな困りごとを、どうやって解決していて、その結果どこからお金が入っているか」まで書くと、事業の手応えが伝わります。

これからの計画を書くときは、言い切りすぎないことも大切です。
決まっていないことを決まったように書くと、入社後の食い違いの種になります。
「検討中」「来期に着手予定」など、確度が分かる書き方にしておきましょう。

組織と働き方

候補者が特に知りたがるのに、会社側が書き忘れやすいのがこの部分です。
組織図に加えて、配属先のチームが何人で、誰に報告し、どんな会議で物事が決まるのかを書きます。
働き方は「フレックス制度あり」のような制度名だけでなく、実際の1日の流れや、繁忙期にどうなるかまで書けると判断材料になります。

抽象的な言葉は、具体的な場面に置き換えます。
「風通しが良い」と書くより、「週1回の全体会議で、入社1年目でも議題を出せる」のほうが、読む人が自分の姿を想像できます。

制度と課題

評価や昇給の仕組みは、面接では聞きにくい話題の代表です。
だからこそ資料に先に書いておく価値があります。
評価の回数、誰が評価するのか、何を見ているのかを、分かる範囲で示しましょう。
金額を出すかどうかは会社の方針次第ですが、仕組みの説明だけでも候補者の不安はかなり減ります。

課題のページは、多くの会社で一番悩むところです。
弱みをさらすようで抵抗があるかもしれません。
ただ、課題は裏返すと「入社した人に任せたいこと」でもあります。
「営業の仕組みがまだ属人的で、型にする人がいない」と書けば、それを面白いと思う人が手を挙げてくれます。

求める人物と選考フロー

求める人物は、スキルの条件だけでなく、価値観や働き方の相性まで書きます。
あわせて「こういう人には合わないかもしれない」を書いておくと、候補者が自分で判断できるようになります。
選考フローは、回数・期間・各段階で見ていることを並べます。
何を見られるのかが分かると、候補者は準備ができ、面接の中身も濃くなります。

採用ピッチ資料と労働条件の明示ルールの関係

上位の解説記事ではあまり触れられていませんが、採用ピッチ資料に働き方や制度を書くなら、法律で求められている「明示」の話と切り離して考えないほうが安全です。
ここでは、採用担当者が押さえておきたい2つの制度を紹介します。
具体的な対応が自社で必要かどうかは、社会保険労務士や管轄の労働局に確認してください。
この記事は法的な判断を示すものではありません。

2024年4月施行の労働条件明示ルールの改正

厚生労働省は、2024年4月1日から労働条件の明示ルールが変わったことを案内しています。
すべての労働契約の締結時と、有期労働契約の更新時には、雇入れ直後の就業場所と業務に加え、将来の配置転換などで変わり得る「変更の範囲」も明示することが求められるようになりました。
有期労働契約では、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容も明示事項に加わっています。

同じ2024年4月1日には職業安定法施行規則も改正され、求人の募集や職業紹介事業者への求人申込みの段階でも、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期契約を更新する場合の基準などを明示することが求められています。
求人票や募集要項を作っている担当者には、すでに対応済みの話かもしれません。

出典: 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html / リーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001298245.pdf (2026年10月9日確認)

出典: 厚生労働省 リーフレット「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」(2024年4月1日施行 改正職業安定法施行規則) https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf (2026年10月9日確認)

若者雇用促進法にもとづく職場情報の提供

新卒者の募集を行う企業には、企業規模を問わず、若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)にもとづき、職場情報を提供するしくみがあります。
厚生労働省の案内では、企業は幅広い職場情報を提供するよう努めることとされ、応募者などから求めがあった場合は、「募集・採用に関する状況」「職業能力の開発・向上に関する状況」「企業における職場定着に関する状況」の3つの類型ごとに、1つ以上の情報を提供することとされています。

この3類型は、採用ピッチ資料の項目とかなり重なります。
募集・採用の状況は「選考フロー」や「組織」のページに、職業能力の開発は「制度」の研修や評価のページに、職場定着の状況は「働き方」や「制度」のページに対応します。
新卒採用で資料を使う会社は、この3類型を目次の点検に使うと、抜けている情報に気づきやすくなります。

出典: 厚生労働省「若者の雇入れを検討している事業主の皆さまへ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133085.html (2026年10月9日確認)

資料に載せるときに気をつけたいこと

法律が求める明示と、採用ピッチ資料に書くことは、目的が違います。
明示は条件を正確に伝えるための手続きで、採用ピッチ資料は判断材料を伝えるための説明です。
採用ピッチ資料を作ったからといって、求人票や労働条件通知書での明示が不要になるわけではありません。
そのうえで、実務では次の3点に気をつけると食い違いを防ぎやすくなります。

  • 勤務地や業務の説明は、求人票・募集要項の記載と表現をそろえる(配属の変更があり得るなら、資料でもそう書く)
  • 残業時間や有給取得日数などの数字には、いつ時点の数字か、どの範囲の社員の数字かを添える
  • 給与や制度の詳細は「募集要項を正とする」と明記し、資料は概要にとどめる

資料と求人票で書いてあることが違うと、候補者はどちらを信じればよいか分からなくなります。
更新のときに求人票と並べて読み合わせる手順を、運用ルールに組み込んでおくと安心です。

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採用ピッチ資料の作り方【7ステップ】

作り方は、デザインより先に「誰に、何を判断してもらう資料か」を決めるところから始まります。
ここでは、初めて作る会社でも進めやすい順番で7つのステップに分けます。

ステップ1: 目的と使う場面を決める

最初に、資料で何を変えたいのかを1文にします。
「スカウトの返信を増やしたい」のか、「面談での会社説明を短くしたい」のか、「内定辞退を減らしたい」のか。
目的によって、資料の長さも、どこに力を入れるかも変わります。
あわせて、スカウト・説明会・面談・採用サイトのどこで使うかを決めておくと、後で「この場面では長すぎる」といった手戻りを防げます。

ステップ2: 読んでほしい候補者像を決める

次に、資料を読んでほしい人を具体的に描きます。
新卒か中途か、どの職種か、いまどんな仕事をしていて、転職や就職で何を気にしているか。
現場の社員や最近入社した人に「入社前に何が不安だったか」「何を知って決めたか」を聞くと、候補者像に中身が入ります。
候補者像が複数あるなら、共通部分を本編にして、職種ごとの説明は別のページや別の版に分けるのがおすすめです。

ステップ3: 社内から材料を集める

材料集めは、採用担当者だけで抱えないことが大切です。
経営層には会社の目的と事業の計画を、現場の責任者には仕事内容と求める人物を、人事・労務には制度と数字を、それぞれ聞きます。
ヒアリングの場で「候補者からよく聞かれる質問」を一覧にして見せると、答えるべきことがはっきりして話が早く進みます。
面接の議事録や、過去に辞退した人の理由も貴重な材料です。

ステップ4: 魅力と課題を洗い出す

集めた材料から、候補者にとっての魅力と、正直に伝えておきたい課題を書き出します。
魅力は「他社と比べて何が違うか」、課題は「入社した人に何を任せたいか」とセットで考えると、言葉が具体的になります。
課題を書くことに社内で抵抗がある場合は、「課題」ではなく「これから一緒に取り組みたいこと」として見せ方を工夫する方法もあります。
中身をぼかしすぎないことだけは守りましょう。

ステップ5: 構成と目次を決める

いきなりスライドを作らず、目次と各ページの見出しを先に決めます。
おすすめは、先ほどの表の順番である「会社の目的、事業、組織、働き方、制度、課題、求める人物、選考フロー」をベースに、自社の目的に合わせて足し引きするやり方です。
各ページの見出しは、そのページで一番伝えたいことを1文で書きます。
見出しだけを順に読んで話が通るなら、構成はうまくいっています。

ステップ6: 文章とスライドに落とし込む

中身ができたら、スライドに落とし込みます。
1ページで伝えることは1つに絞り、文字は見出しと短い説明までにとどめます。
数字は表やグラフにし、社員や職場の写真を入れられるなら、文字だけのページより雰囲気が伝わりやすくなります。
スマホで読まれることも多いので、文字が小さくなりすぎないかを実際の画面で確かめておきましょう。
デザインを社内で整えるのが難しければ、ここだけ外部に頼むという分け方もあります。

ステップ7: 社内レビューと公開前チェック

公開前に、経営層・現場・人事労務の3方向から読んでもらいます。
経営層には方針との食い違いがないか、現場には実態とずれていないか、人事労務には求人票や制度の記載と合っているかを見てもらいます。
最近入社した社員に「入社前の自分が読んだらどう感じるか」を聞くのも効果的です。
最後に、数字の時点と出どころ、個人が特定される写真や情報が入っていないかを確かめてから公開します。

上長・経営層に採用ピッチ資料を説明するときの材料

採用ピッチ資料は、作ろうと思っても社内の協力がないと進みません。
経営層への取材や現場のレビューに時間をもらう必要があるからです。
ここでは、上長や経営層に企画を通すときに用意しておきたい材料を整理します。
この視点は上位の解説記事にはあまり見られない部分なので、企画書を作るときのたたき台にしてください。

企画書に入れる5つの項目

項目 書くこと
いまの課題 辞退・ミスマッチ・面談工数など、数字で示せる現状
目的と指標 何を増やし、何を減らすか。どの数字で確かめるか
使う場面 スカウト・説明会・面談・採用サイトのどこで使うか
必要な協力 誰に、何時間くらいの取材やレビューを頼むか
リスクと対策 情報の古さ・求人票との食い違いを、どう防ぐか

経営層が気にするのは、主に「手間に見合うか」と「出してまずい情報が外に出ないか」の2点です。
前者には工数と効果の見通しを、後者にはレビューの手順と更新の担当を示すと、話が前に進みやすくなります。

効果の見込みを自社の数字で示す

効果の見込みは、他社の事例の数字を借りるより、自社の数字で計算したほうが説得力があります。
たとえば面談での会社説明の時間です。
仮に1回の面談で会社説明に20分使っていて、月に30回面談があるなら、会社説明だけで月10時間を使っている計算になります。
資料を事前に読んでもらって説明を短くできれば、その時間を質疑や見極めに回せます。
数字はあくまで計算例なので、自社の実際の値に置き換えてください。

同じように、スカウトの返信率、説明会から面接への移行率、内定承諾率、入社後の早期離職など、すでに取れている数字の中から「資料で動きそうなもの」を1〜2つ選び、公開前の値を記録しておきます。
あとで比べる基準がないと、効果があったのかどうか誰にも分かりません。

反対されやすいポイントへの答え方

よく出る反対意見は、「課題を外に出すのは危ない」「作っても読まれないのでは」「更新が回らないのでは」の3つです。
課題については、社外秘の数字や個別の案件には触れず、「どんな役割が足りていないか」という形で書けば、守るべき情報を出さずに済みます。
読まれるかどうかについては、まずスカウトや面談前の送付など、読む理由がはっきりした場面で使い始めると反応を確かめやすくなります。
更新については、次の章で紹介する運用ルールを企画書に添えておくと安心してもらえます。

採用ピッチ資料を使う場面と使い分け

同じ資料でも、使う場面によって読まれ方が違います。
全編をそのまま渡すのか、一部を抜き出すのかを場面ごとに決めておくと、候補者の負担が減ります。

場面 渡し方 重点を置くページ
スカウト 文面にリンクを1つだけ添える 会社の目的・事業・仕事内容の要約
説明会 投影し、終了後に共有する 全体。質疑の時間を多めに取る
面談・面接の前 数日前に送り、読んでから来てもらう 組織・働き方・制度・課題
採用サイト 常設ページに埋め込む、または入口を置く 全体。職種別の版があれば分ける
人材紹介・リファラル 紹介する人に先に渡す 求める人物・選考フロー

※当社が一般的な使われ方から整理した目安です。

スカウトで使う

スカウトの文面は短いほうが読まれやすく、伝えきれない部分を資料に任せるという分担ができます。
ただ、文面にいきなり数十ページの資料を添えても、開いてもらえるとは限りません。
スカウト経由で読まれる場合は、最初の数ページで「何の会社で、あなたに何をお願いしたいのか」が分かる構成にしておくのがコツです。
スカウト文面の組み立て方はスカウトメールの返信率を上げる方法で詳しく扱っています。

説明会で使う

説明会では、資料を読み上げるより、資料に書いていない話をするほうが参加者の満足度は上がりやすくなります。
資料は事前か終了後に共有し、当日は社員の話や質疑に時間を使う。
こうすると、説明会と資料の役割がはっきり分かれます。

面談・面接の前に送る

面談の前に資料を読んでもらうと、会社説明の時間を短くでき、候補者からの質問も具体的になります。
送るタイミングは、日程が決まったあと、面談の数日前が目安です。
送るときに「特に◯ページの働き方について、気になる点があれば当日聞いてください」と添えると、読む理由ができます。

採用サイトに置く

採用サイトに置く場合は、資料をそのまま載せるだけでなく、サイトの各ページとの役割分担を考えます。
社員インタビューや仕事紹介のページが充実しているなら、資料は全体を短くつかむための入口にする、といった分け方です。
採用サイトの見せ方は採用サイトに漫画を載せる効果と作り方も参考にしてください。

採用ピッチ資料の更新と運用のルール

採用ピッチ資料は、作って終わりではありません。
むしろ公開してからのほうが大切です。
情報が古くなった資料は、候補者に誤解を与えるだけでなく、法律上の明示との食い違いを生む原因にもなります。
運用のルールは、作り始める段階で決めておきましょう。

更新のきっかけを決める

「年に1回見直す」だけだと、実際には後回しになりがちです。
定期の見直しに加えて、更新のきっかけになる出来事を決めておきます。
たとえば、組織変更、制度の改定、新しい事業の開始、募集職種の追加、求人票の改訂です。
こうした出来事が起きたら資料も見直す、という決まりを人事の業務フローに入れておくと漏れが減ります。

更新の担当と版の管理

更新の担当者を1人決め、各ページの元の情報をどの部署が持っているかを一覧にしておきます。
表紙か最終ページに「◯年◯月時点」と版の時点を書いておくと、候補者も社内も古い資料かどうかをすぐに判断できます。
古い版をスカウトのテンプレートや紹介会社の手元に残さないよう、配布先の一覧もあわせて管理しましょう。

候補者の反応を集めて直す

改善のための材料は、候補者の反応です。
面談の最後に「資料で分かりにくかったところはありましたか」と聞く、内定者や入社した人に「どのページが判断の役に立ったか」を聞く、といった方法で声を集めます。
採用サイトに置いているなら、閲覧数や読了の状況が見られる場合もあります。
よく聞かれる質問が資料に書かれていないなら、そのページを足す。
逆に誰にも読まれていないページは、短くするか後ろに回す。
この繰り返しで、資料は少しずつ使えるものになっていきます。

文字とスライドでは伝わりにくい部分の補い方

採用ピッチ資料を作って運用していると、ある壁に当たることがあります。
項目はそろっているのに、肝心の「この会社で働くとどんな毎日になるのか」が候補者に伝わりきらない、という壁です。
働き方や社風は、箇条書きにするとどの会社も似た言葉になりやすく、読む側も流し読みになりがちです。

この部分を補う方法としては、社員インタビュー、職場の写真、動画などがよく使われます。
そのうえで、もう1つの選択肢として、漫画で伝える方法があります。
入社1年目の1日や、チームで課題に取り組む場面を物語として描くと、文字では説明しにくい人間関係や仕事の進め方を、場面ごと見せられます。
資料の中の数ページだけを漫画にする、採用サイトやスカウトのリンク先に漫画を置く、といった組み合わせも考えられます。

当社のコミリクで制作した採用漫画では、インターン生の採用で、採用媒体に漫画を掲載したところPV数が8.5倍、応募数が2倍になった例があります。
当社の公表実績で、効果は企業・募集職種・運用によって異なり、成果を保証するものではありません。

出典: コミリク(株式会社BARD)サービスページの公表実績 https://bardofficial.com/comicrecruit/ (当社公表値・2026年10月9日確認)

漫画はどんな会社にも向くわけではありません。
伝えたい場面がはっきりしていない段階で作ると、きれいだけれど判断材料にならないコンテンツになります。
まずは採用ピッチ資料で伝えたいことを整理し、そのうえで「文字では伝わりにくい」と分かった部分に絞って検討するのが現実的な順番です。
採用漫画の全体像は採用漫画とは、メリットと注意点は採用漫画のメリット・デメリット、内製と外注の進め方は採用漫画の作り方で詳しく解説しています。

外注する場合の費用の決まり方と、外注先タイプ別の目安は採用漫画の費用・相場は?で整理しています。

よくある質問

Q. 採用ピッチ資料は何ページくらいが目安ですか?

決まったページ数はありません。
目的と使う場面によって変わります。
スカウトのリンク先として使うなら、最初の数ページで要点が伝わる構成にし、詳しい内容は後半に回すと読まれやすくなります。
面談前に読んでもらう前提なら、組織や制度のページを厚くしても問題ありません。
ページ数を先に決めるより、目次の見出しを並べて「これで候補者の質問に答えられるか」を確かめるほうが確実です。

Q. 採用ピッチ資料は一般公開したほうがいいですか?

公開すると、検索やSNSから会社を知ってもらう入口にもなります。
一方で、公開すれば誰でも読めるので、社外に出してよい情報かどうかの線引きがより大切になります。
最初は面談前の送付など限られた場面で使い、反応を見て直してから公開する、という段階の踏み方もあります。

Q. 新卒向けと中途向けで資料を分けるべきですか?

候補者が知りたいことが違うので、分けたほうが読まれやすくなります。
新卒は研修や配属の考え方、入社後の成長の道筋を、中途は任される役割や評価の仕組み、チームの構成をより詳しく知りたがります。
全部を別に作るのが難しければ、共通の本編に、対象ごとの数ページを差し替える形にすると更新の手間を抑えられます。

Q. 給与や残業時間などの数字はどこまで載せるべきですか?

候補者が知りたい情報ではありますが、載せ方には注意が必要です。
数字を載せるなら、いつ時点の数字か、どの範囲の社員の数字かを添えます。
給与などの条件は、求人票や募集要項を正とし、資料には「詳細は募集要項をご確認ください」と書いておくと、食い違いを防げます。
明示のルールとの関係で迷う場合は、社会保険労務士や管轄の労働局に確認してください。

Q. 社内で作るのと外部に頼むのは、どう判断すればいいですか?

中身の材料集めと課題の洗い出しは、社内でしかできない部分です。
外部に頼むとしても、ここは採用担当者が中心になって進める必要があります。
外部に任せやすいのは、構成の整理、デザイン、写真やイラスト、漫画など表現の部分です。
社内にデザインを整えられる人がいるか、更新を誰が担うかで判断するとよいでしょう。

Q. 作ったあと、効果はどうやって確かめればいいですか?

公開前に、資料で動かしたい数字を1〜2つ決めて記録しておきます。
スカウトの返信率、面談での会社説明の時間、内定承諾率などです。
あわせて、面談で「資料のどこが役に立ったか」を聞いて、数字に表れない反応も集めます。
数字と声の両方を見ると、どのページを直せばよいかが見えてきます。

まとめ

  • 採用ピッチ資料とは、候補者に会社の目的・事業・組織・働き方・制度・求める人物・選考フローをひとまとまりで伝えるスライド資料
  • 良い面だけでなく、課題と合わないかもしれない人まで書くと、候補者が自分で判断できる
  • 働き方や制度を書くときは、労働条件の明示ルールや求人票の記載と食い違わないようにする
  • 作り方は「目的と場面、候補者像、材料集め、魅力と課題、構成、スライド化、社内レビュー」の7ステップ
  • 上長への説明は、自社の数字で効果の見込みを示し、更新の担当と手順を添える
  • スカウト・説明会・面談・採用サイトで渡し方を変え、公開後は反応を集めて直す

採用ピッチ資料は、作る過程そのものが、会社の伝えたいことを社内でそろえる機会にもなります。
まずは目的を1文にし、候補者からよく聞かれる質問を並べるところから始めてみてください。
そのうえで、文字とスライドでは伝わりにくい部分が見えてきたら、漫画で伝える方法も選択肢の1つです。
自社の場合はどう使えるか、お見積りを含めて無料でご相談いただけます。

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