「ポートフォリオを作ろうとしたけれど、何を何枚載せればいいのか分からない」。
「描いた絵を並べてみたのに、これで仕事が来るのか自信がない」。
そんな迷いを抱えたまま、手が止まっていませんか。
この記事では、就職のためではなく企業から依頼を受けるためのイラストのポートフォリオに絞って、作品の選び方と枚数、作品ごとの説明の書き方、PDFとWebの使い分けまでを順番に整理します。
実案件がまだ無い人のための「想定案件」の作り方と、受託作品やAI生成物を載せる前に確かめたい権利の話も扱います。
この記事でわかること
- 発注する企業がポートフォリオで見ている4つのポイント
- 載せる作品の選び方・枚数・並べ順
- 作品ごとの説明(目的・ターゲット・工夫)の書き方テンプレート
- 広告漫画やバナーなど「目的のある絵」と想定案件の見せ方
- PDFとWebの使い分け、ポートフォリオサイトの種類
- 受託作品・二次創作・AI生成物を載せる前の権利の確認
企業から広告漫画・イラストの依頼を受けている立場から、発注側がポートフォリオのどこを見て声をかけるのかをお伝えします。
イラストのポートフォリオとは?仕事を受けるための作品集の役割

イラストのポートフォリオとは、自分がどんな絵を描けて、相手の仕事にどう役立てられるかを、選んだ作品と説明でまとめた作品集です。
画集のように「好きな絵を並べたもの」とは目的が違います。
見る人は、あなたに仕事を頼むかどうかを決めようとしている企業の担当者です。
その担当者が知りたいのは、絵の上手さだけではありません。
「うちの商品やサービスに合う絵を描いてくれそうか」「意図を伝えたら、その意図どおりに仕上げてくれそうか」「やり取りで困らなさそうか」。
この3つを、短い時間で判断しようとしています。
ポートフォリオは、その判断材料を相手より先に用意しておく道具です。
同じ「ポートフォリオ」という言葉でも、就職・転職で使うものと、仕事の依頼を受けるために使うものでは、見る人も見られる点も変わります。
この記事が扱うのは後者です。
| 就職・転職用 | 依頼を受けるため(この記事) | |
|---|---|---|
| 見る人 | 採用担当・現場の上長 | 企業の販促・広報・マーケティング担当、制作会社のディレクター |
| 知りたいこと | 一緒に働けるか、伸びしろがあるか | 自社の目的に合う絵を、期日までに仕上げてくれるか |
| 強調する点 | 描ける幅、学習の過程、人柄 | 得意な分野と絵柄、目的に合わせた工夫、対応できる工程 |
| 作品の数 | 多めに見せることもある | 案件に近いものを厳選して少なめに |
| 添えるもの | 履歴書・職務経歴書 | 対応できる仕事の範囲、連絡先、納品形式 |
依頼を受けるためのポートフォリオでは、作品の数より「この人に頼めばこうなる」が伝わるかどうかが勝負です。
ここを押さえておくと、次に説明する作品選びや説明文の書き方で迷いにくくなります。
発注する企業がポートフォリオで見ている4つのポイント
企業の担当者は、何十人ものポートフォリオを短時間で見比べることがあります。
最初の数ページで「合いそうか」を判断し、気になった人の作品だけをじっくり見る、という見方が多いと考えてください。
そのとき見られているのは次の4点です。
1. 自社の商品・読者層に合う絵柄か
化粧品の広告に合う絵柄と、BtoBの業務システムの説明に合う絵柄は違います。
担当者は、まず自社の商品や読者層に置き換えたときに違和感がないかを見ます。
絵柄の良し悪しではなく、相性の問題です。
だからこそ、自分の絵柄がどんな商材・どんな読者層に合うのかを、ポートフォリオの中で示しておく必要があります。
2. 目的に合わせて描き分けられるか
企業の依頼には、ほとんどの場合目的があります。
商品の魅力を伝えたい、申し込みを増やしたい、社内の制度を分かりやすく説明したい。
担当者は、作品を見ながら「この人は目的を聞いて描ける人か、好きな絵を描く人か」を見分けようとします。
作品の横に目的と工夫を書いておくと、この判断がしやすくなります。
3. どの工程から任せられるか
ラフや構成の案から一緒に考えてほしいのか、決まった構図どおりに仕上げてほしいのか。
発注側によって任せたい範囲は違います。
ラフ・ネーム・完成稿まで見せておくと、「ここから任せられる」が伝わります。
任される範囲が広いほど、依頼内容も報酬の考え方も変わります。
4. やり取りで困らなさそうか
連絡先が分かりにくい、対応できる納品形式が書いていない、作品の説明に誤字が多い。
こうした小さな点は、絵の印象とは別に「仕事として進めにくそう」という不安を生みます。
プロフィール欄と連絡先、対応できる仕事の範囲は、作品と同じくらい丁寧に整えておきましょう。
4つに共通するのは、担当者が「自社の仕事に置き換えたときの姿」を想像できるかどうかです。
上手な絵を並べるだけでは、この想像を相手に丸投げすることになります。
載せる作品の選び方と枚数の目安

選ぶ基準は「受けたい仕事に近いか」
作品を選ぶときの基準は、描いた本人のお気に入りかどうかではなく、受けたい仕事に近いかどうかです。
広告漫画を受けたいなら広告漫画に近い作品を、Webのバナーや挿絵を受けたいならその用途に近い作品を優先します。
担当者は「これと同じような絵をうちでも描いてほしい」と考えて声をかけるため、受けたくない分野の作品ばかりだと、受けたくない依頼が届きやすくなります。
選ぶ手順は次のとおりです。
- STEP1:受けたい仕事を2〜3種類に絞る:例として「広告漫画」「Web記事の挿絵」「SNS広告のバナー用イラスト」など
- STEP2:手持ちの作品を、その種類ごとに仕分ける:どれにも当てはまらない作品は、いったん候補から外す
- STEP3:種類ごとに質の高いものから並べる:同じような構図・同じようなキャラクターが続くものは1点に絞る
- STEP4:足りない種類を書き出す:この空きを埋めるのが、後で説明する「想定案件」の作品です
枚数は「少なく、偏りなく」
枚数に決まりはありません。
ただ、依頼を受けるためのポートフォリオでは、たくさん並べるほど良いわけではないことは覚えておいてください。
担当者が全部を見てくれるとは限らず、質にばらつきがあると、いちばん弱い作品の印象で判断されることもあるからです。
目安としては、受けたい仕事の種類ごとに3〜5点、全体で10〜15点ほどから始めると見やすくまとまります。
広告漫画のように1作品が複数ページになるものは、作品数ではなく「1作品を最後まで読ませるか、見せ場のページだけ抜き出すか」で調整します。
数が少なくて不安なときも、質を落として数を足すより、少ない点数を説明でしっかり補うほうが伝わります。
並べ順は最初の3点で決まる
担当者は最初の数点で、続きを見るかどうかを決めがちです。
いちばん見てほしい分野の、いちばん完成度の高い作品を先頭に置きましょう。
その次に、同じ分野で目的の違う作品を並べると、描き分けの幅が伝わります。
古い作品は後ろに回すか、思い切って外します。
外したほうがよい作品
- 描いた時期が古く、いまの絵柄と大きく違う作品(今の実力と誤解される)
- 練習の模写や、他人の作品のトレース(自分の作品として見せられない)
- 依頼主から掲載の許可を得ていない受託作品(権利の話は後の章で詳しく扱います)
- 受けたい仕事とまったく関係のない作品(関係のない依頼を呼び込む)
- 未完成のまま止まっている作品(ラフとして見せる意図がある場合は、その旨を書く)
作品ごとの説明の書き方【目的・ターゲット・工夫】
依頼を受けるためのポートフォリオで差がつきやすいのが、作品の横に添える説明です。
絵だけでは「何のために、誰に向けて、どう考えて描いたか」が伝わりません。
この部分を言葉にしておくと、担当者は自社の仕事に置き換えて想像しやすくなります。
作品説明のテンプレート(1作品につき5項目)
1. 種類と用途:広告漫画(LP用)/Web記事の挿絵/SNS広告のバナー用イラスト など。
想定案件の場合はここに「想定案件」と書く。
2. 目的:この絵で読む人に何をしてほしいか(商品を知ってほしい、申し込んでほしい、制度を理解してほしい)。
3. ターゲット:誰に向けた絵か(年代・状況・悩み)。
4. 工夫した点:目的とターゲットに合わせて何を選んだか、なぜそう判断したか。
5. 担当範囲と制作情報:構成・ネーム・作画・仕上げのどこを担当したか、使用ソフト、制作期間。
いちばん差がつくのは4番の「工夫した点」です。
「明るい色で描きました」だけでは誰にでも書けます。
「30代の忙しい読者を想定し、1コマ目で悩みが伝わるように表情を大きく描いた」のように、ターゲットと結びつけて理由まで書くと、目的に合わせて描ける人だと伝わります。
記入例(書き方の見本)
下は、書き方のイメージをつかむための記入例です。
実在する案件や実績ではありません。
種類と用途:広告漫画(4ページ・LP冒頭用)。
想定案件として制作したもので、実在の依頼ではありません。
目的:家計簿アプリの無料ダウンロードにつなげる。
ターゲット:家計管理を続けられず悩んでいる20〜30代の共働き世帯。
工夫した点:冒頭のコマで「レシートがたまる」場面を描き、読者が自分の状況と重ねやすいようにした。
アプリの画面は最後の1ページにまとめ、機能説明より「続けられる理由」に絞った。
担当範囲:構成・ネーム・作画・仕上げ(すべて自分で担当)。
説明文は長すぎると読まれません。
1作品につき5項目を、それぞれ1〜2行で書くくらいがちょうどよい分量です。
全作品で同じ順番・同じ書式にそろえると、担当者が比べながら読みやすくなります。
説明で避けたい書き方
- 「頑張りました」「こだわりました」など、何をしたかが分からない言葉だけで終わる
- 依頼主の社名や未公開の情報を、許可なく書く
- 想定案件なのに、実際の依頼のように読める書き方をする
- 閲覧数やいいねの数を、仕事の成果のように書く
最後の点は特に気をつけたいところです。
閲覧数やいいねは、読者としての反応を示すものです。
その絵が商品の購入や申し込みにつながったかどうかは、そこからは分かりません。
発注する企業が知りたいのは後者なので、成果として並べると、かえって仕事の目的を理解していない印象につながることがあります。
広告漫画やバナーなど「目的のある絵」の見せ方
企業から依頼を受けたいなら、ポートフォリオの中心に置きたいのが「目的のある絵」です。
広告漫画、バナー用のイラスト、商品紹介の挿絵、社内向けの説明イラスト。
どれも、読んだ人に何かを理解してもらったり、行動してもらったりするために描く絵です。
広告漫画とは、商品やサービスの魅力を漫画の形で伝え、読者に購入や申し込みなどの行動を促すための漫画のことで、Web広告やLP(商品の申し込みページ)でよく使われています(詳しくは漫画LPとは)。
完成稿だけでなく、ラフ・ネームも見せる
目的のある絵は、完成稿だけを見せても伝わりにくいことがあります。
どの順番で情報を出し、どこで読者の気持ちを動かそうとしたのか。
この設計が見えるのは、構成メモやネームの段階です。
完成稿の隣に、構成メモ1枚とネームを並べておくと、担当者は「構成から任せられる人か、作画を任せる人か」を判断しやすくなります。
任せられる範囲は、そのまま依頼の内容と報酬の考え方に関わります。
広告漫画の場合、当メディアでは、構成・ネームの指示がある作画中心の依頼がおよそ1件 3万〜5万円、構成から任せる依頼がおよそ1件 15万〜30万円という目安で整理しています(2026年10月8日時点の当メディアの整理。
依頼内容や発注先によって変わり、収入を保証するものではありません)。
ページ数を増やせば報酬が上がるわけではなく、差を生むのは任される範囲と、売れる構成を作るスキルです。
バナー・挿絵は「使われる場面」ごと見せる
バナー用のイラストや記事の挿絵は、イラスト単体よりも、実際に使われる場面に置いた形で見せると目的が伝わります。
文字が載る余白をどう空けたか、スマホの小さな画面でも何の絵か分かるようにどう単純化したか。
こうした工夫は、使われる形にしてはじめて伝わるものです。
文字入れやレイアウトまで自分で作らない場合でも、仮の文字を置いた見本を1枚添えておくと、使われる場面を意識して描いていることが伝わります。
実案件が無いときの「想定案件」の作り方
実案件がまだ無い段階では、実在しない依頼を想定して作品を作る方法があります。
ここでは「想定案件」と呼びます。
Webディレクターのポートフォリオで使われる架空案件の考え方を、描き手向けにしたものです(ディレクター版はWebディレクターのポートフォリオの作り方で解説しています)。
- STEP1:題材を決める:自分が詳しい分野や、よく使う商品・サービスのジャンルから選ぶ。ジャンルの事情が分かるほど、目的とターゲットを具体的に設定しやすい
- STEP2:依頼内容を書き出す:「誰が、何のために、どこに載せる絵を頼むのか」を、発注者になったつもりで3〜5行の依頼文にする
- STEP3:目的とターゲットを決める:何をしてほしい絵なのか、誰に向けた絵なのかを1行ずつ書く
- STEP4:構成から描く:構成メモ→ネーム(またはラフ)→完成稿の順に作り、途中の段階も保存しておく
- STEP5:説明を書く:上のテンプレートの5項目で説明を書き、冒頭に「想定案件」と明記する
想定案件で作品を作るときは、実在の依頼だと誤解されないように、作品ごとに「想定案件として制作」と書いておきましょう。
実在の企業名や商品名、ロゴをそのまま使うのも避けます。
架空の商品名や「家計簿アプリ」のような一般的な表現にしておくと、権利の面でも、誤解を招く面でも安全です。
実在の依頼のように見せてしまうと、作品の質とは別のところで信用を失いかねません。
想定案件は、実績の代わりではなく「目的を聞けば、こう描ける」を見せるための作品です。
依頼文・構成・完成稿・説明までそろえると、実案件と同じ見方で評価してもらいやすくなります。
想定案件の題材選びや、構成が目的に合っているかの判断は、ひとりだと手応えがつかみにくい部分です。
進め方に迷ったら、現役の広告漫画家に無料で相談することもできます。
→ コミックキャリアの無料説明会で相談してみる
PDFとWebの使い分けとポートフォリオサイトの種類

ポートフォリオの形式は、大きく分けてPDFとWebの2つです。
どちらか一方ではなく、両方を用意して場面で使い分けるのが現実的です。
| Web(ポートフォリオサイト) | ||
|---|---|---|
| 向いている場面 | 応募や提案のときに、相手に合わせた作品だけを送る | 名刺・プロフィール欄・メール署名から見てもらう |
| 強み | 載せる作品と順番を相手ごとに変えやすい。社内で回覧してもらいやすい | URL1本で共有できる。作品の追加や差し替えがすぐできる |
| 弱み | 容量が大きいと送りにくい。古い版が出回ることがある | 全員に同じ内容を見せることになり、相手ごとの調整はしにくい |
| 作るときの要点 | 10〜20ページほどに収め、表紙・プロフィール・作品・連絡先の順にする | トップで得意分野が分かるようにし、作品の説明と連絡先までの道筋を短くする |
PDFを作るときのポイント
PDFは、相手に合わせて中身を入れ替えられるのが強みです。
広告漫画の依頼を相談したい企業には広告漫画を先頭に、挿絵の依頼を受けたい制作会社には挿絵を先頭に、と並べ替えて送れます。
元のデータは作品ごとにページを分けて保存しておき、送る相手に合わせて組み直せるようにしておくと手間がかかりません。
- ファイル名は「名前_ポートフォリオ_作成年月」のように、相手が保存しても分かる形にする
- メールで送るなら容量を抑える。重い場合は画像を書き出し直すか、閲覧用のURLで共有する
- 最後のページに連絡先と、対応できる仕事の範囲(構成から対応できる、作画のみ、など)をまとめる
- 作成した年月を表紙か最終ページに入れ、古い版と区別できるようにする
Webのポートフォリオサイトの種類
Webのポートフォリオを置く場所には、いくつかの種類があります。
どれが正解というより、手間と自由度のどちらを優先するかで選びます。
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| イラスト投稿サービス | 作品の公開は手軽。見る人の多くは仕事の依頼者ではなく、絵を楽しむ読者 | 作品を公開しながら、別にポートフォリオを用意する人 |
| ポートフォリオ作成サービス | 作品集の形に整えやすい。見た目や機能はサービスごとの範囲に限られる | まず手早く1つ形にしたい人 |
| ホームページ作成サービス | テンプレートを使って、自分のサイトとして作れる。ページ構成の自由度が上がる | プロフィールや依頼の流れまで1か所にまとめたい人 |
| 独自ドメインで自作 | 見せ方を自由に決められる。作る手間と管理の手間がかかる | Web制作に慣れている人、長く使う前提の人 |
具体的なサービスの機能や料金、利用規約は変わることがあるため、使う前に各サービスの公式サイトで確認してください。
特に、商用の依頼を受ける目的で使ってよいか、作品の権利がどう扱われるか、無料プランで独自のURLや広告の有無がどうなるかは、登録前に見ておきたい点です。
Webのポートフォリオに入れておきたいページ
- トップ:得意な分野と絵柄が一目で分かる代表作を2〜3点
- 作品一覧:受けたい仕事の種類ごとに分けて並べる
- 作品ごとのページ:説明の5項目と、あればラフ・ネーム
- プロフィール:対応できる仕事の範囲、使用ソフト、対応できる納品形式
- 連絡先:問い合わせフォームかメールアドレス。返信までの目安があれば添える
SNSのアカウントとの関係
SNSに作品を投稿している人は多いと思いますが、SNSのアカウントをそのままポートフォリオの代わりにするのはおすすめしません。
投稿は時系列で流れていき、仕事に近い作品だけを選んで見せることも、作品ごとに目的や工夫を説明することも難しいからです。
SNSに投稿して得られるのは、閲覧数やコメントといった読者としての反応までです。
その絵が購買意欲につながったかどうかや、広告漫画のプロから見た評価は、そこからは返ってきません。
SNSは作品を知ってもらう入口として使い、仕事の判断材料はポートフォリオの側にそろえておく、と役割を分けて考えましょう。
受託作品・二次創作・AI生成物を載せる前の権利の確認
ポートフォリオの作り方を解説する記事では、作品の選び方や見せ方が中心で、権利の確認まではあまり触れられていません。
ただ、依頼を受けるためのポートフォリオでは、ここを確かめずに載せると、作品の質とは関係のないところで信用を失うおそれがあります。
ここでは法律上の判断ではなく、載せる前に何を確認すればよいかを整理します。
個別の判断が必要な場合は、契約書の内容を確かめたうえで、依頼主や専門家に相談してください。
受託作品(仕事で描いた絵)
仕事で描いた絵は、自分が描いたものでも、自由にポートフォリオへ載せられるとは限りません。
文化庁の著作権テキストでは、著作権は作品を創作した時点で登録などの手続きなしに発生し、財産権としての著作権は他人に譲渡できると説明されています。
また、文化庁の著作権契約マニュアルでは、著作物の制作を依頼した側は、依頼しただけでは完成した著作物の著作権を取得したことにならないとされています。
著作権は全部だけでなく一部だけでも譲渡できるため、どこまでを誰が持つかは契約で合意しておく必要があります。
出典: 文化庁「著作権テキスト(令和6年度版)」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/textbook/pdf/94081601_01.pdf (2026年10月9日確認)
出典: 文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」(令和4年度版) https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/keiyaku_intro/chosakukenkeiyaku_manual.pdf (2026年10月9日確認)
つまり、受託作品を載せてよいかは、権利の帰属だけでなく、契約の中身と依頼主の意向で決まります。
実務では、次の点を確認してから載せるのが安全です。
- 契約書や発注書に、制作物の公開や実績としての掲載について決まりがあるか
- 秘密保持の約束があるか。ある場合、どこまでなら公開してよいか
- 依頼主の商品やサービスが公開される前ではないか(公開日より前に載せない)
- 依頼主の社名・商品名・ロゴを出してよいか。出せない場合、伏せた形なら載せてよいか
- 文字や写真など、依頼主や第三者が用意した素材が含まれていないか
契約書に何も書かれていないときは、依頼主に「ポートフォリオに掲載してもよいか」をメールなどで確認し、回答を残しておきましょう。
これから仕事を受けるなら、契約の段階で掲載の可否を決めておくと、後で迷わずに済みます。
掲載できない仕事が多い場合は、そのぶん想定案件で同じ種類の作品を作り、受けられる仕事の幅を示す方法もあります。
二次創作(既存の作品のキャラクターなどを使った絵)
既存の漫画やアニメ、ゲームのキャラクターを描いた二次創作は、元の作品の権利者がいる絵です。
権利者がファン活動のガイドラインを出していることもありますが、その範囲は作品ごとに違い、ポートフォリオとして仕事の獲得に使うことまで認めているとは限りません。
企業から依頼を受けるためのポートフォリオでは、二次創作は外し、オリジナルの作品と想定案件で構成するのが無難です。
企業の担当者が知りたいのは「自社のオリジナルの商品やキャラクターをどう描いてくれるか」なので、オリジナル作品のほうが判断材料にもなります。
AI生成物(生成AIを使って作った絵)
生成AIを使って作った絵や、生成AIを制作の一部に使った絵を載せるときは、2つの点に気をつけます。
1つ目は、既存の作品と似ていないかです。
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」の概要では、AIで生成した物が既存の著作物と似ていて(類似性)、既存の著作物をもとにしている(依拠性)と認められ、かつ権利制限規定の対象外である場合は、既存の著作物の著作権侵害になると整理されています。
文化庁はこのほか、AIの開発・提供・利用に関わる人向けのチェックリストも公表しています。
出典: 文化庁 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について【概要】」(令和6年4月) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94057901_01.pdf (2026年10月9日確認)
出典: 文化庁「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/seisaku/r06_02/pdf/94089701_05.pdf (2026年10月9日確認)
2つ目は、発注側への伝え方です。
企業によっては、制作に生成AIを使うかどうかを気にすることがあります。
生成AIを使った作品をポートフォリオに入れる場合は、どの工程で使ったのかを説明に書いておき、自分の手で描いた作品と区別がつくようにしておきましょう。
依頼主から見て「手描きだと思って頼んだのに違った」という食い違いが起きないようにするためです。
使ったツールの利用規約で、生成物の商用利用がどう定められているかも確認しておきます。
権利の確認で迷ったら、「契約に何が書いてあるか」と「依頼主の許可を得ているか」の2点に戻るのが基本です。
判断がつかない作品は、載せない選択をするか、想定案件で置き換えましょう。
独学で仕上げるか、プロに見てもらうか
ポートフォリオは、ひとりでも作れます。
この記事の手順どおりに進めれば、形にはなるはずです。
ただ、ひとりで作っていると、判断材料が自分の感触しかありません。
選んだ作品が受けたい仕事に合っているか、説明の工夫が発注側に響く書き方になっているか、構成が目的に合っているか。
こうした点は、実際にその仕事をしている人に見てもらってはじめて分かることが多い部分です。
| 独学で仕上げる | 伴走つきで仕上げる | |
|---|---|---|
| 作品の選び方 | 受けたい仕事に合っているかを自分で判断する | 現役の描き手と一緒に、仕事につながる構成を考えられる |
| 想定案件の作り方 | 題材と目的の設定が甘くなりやすい | 実案件をモチーフにした課題で、目的のある作品を作れる |
| 説明・構成の質 | 商用で通用するかを確かめる手段が少ない | マンツーマン添削で、仕上げまで磨ける |
| 案件の取り方 | どこに見せれば依頼につながるかを手探りで探す | 営業支援つきで、収益化まで並走してもらえる |
コミックキャリア(広告漫画スクール)
実案件をモチーフにした実践学習と、マンツーマン添削+学習計画(質問し放題)で「売れる構成の型」を習得します。
さらに収益化までを見据えた営業支援を、売上保証つきで提供しています。
画力よりも「売れる構成の型と案件の取り方」を重視するカリキュラムです。
料金は無料相談で案内しています。
スクールを比べたい方は、イラストスクールの選び方や広告漫画スクールの選び方もあわせて読んでみてください。
独学で進めたい方には、広告漫画を独学で学ぶ方法で、ひとりで進めるときの順番と、つまずきやすいところをまとめています。
「それでも不安」という方へ
「載せられる作品がほとんどありません」
作品が少ないことは、ポートフォリオを作れない理由にはなりません。
受けたい仕事を1種類に絞り、想定案件で3〜5点を作れば、最初の1冊としては十分に形になります。
数より、1点ごとの説明の質を優先しましょう。
「絵柄が企業向きではない気がします」
企業の依頼で求められる絵柄は、商材と読者層によって変わります。
絵柄を無理に変えるより、自分の絵柄が合う商材を選び、その商材を題材にした想定案件を作るほうが現実的です。
「お金と時間をかけて作っても、仕事につながるか分かりません」
ポートフォリオを作れば依頼が来る、という保証はありません。
ただ、依頼を受ける場面では、ほぼ確実に何らかの作品を見せることになります。
仕事の目的に合わせた作品と説明を用意しておくことは、どの進め方を選んでも無駄になりにくい準備です。
「自分に向いているのか分かりません」
1分の適性診断で、広告漫画の仕事に向いているかどうかと、向いているならどのタイプかまで確かめられます。
ポートフォリオでどんな作品を中心にするかを考えるヒントにもなります。
無料・約1分でわかる
広告漫画家適性診断
6つの質問に答えるだけ!あなたが「広告漫画」の仕事に向いているかを診断します。
収入を保証するものではありません。
※診断結果は目安です。
収入を保証するものではありません。
オンライン・60分・個別/無理な勧誘はありません。
お話しして「うちで理想の未来が叶いそう」と感じた方にだけ、ご案内しています。
よくある質問
イラストのポートフォリオは何枚くらい載せればいいですか?
決まった枚数はありません。
依頼を受けるためのものなら、受けたい仕事の種類ごとに3〜5点、全体で10〜15点ほどから始めると見やすくまとまります。
数を増やすより、受けたい仕事に近い作品を厳選し、作品ごとに目的・ターゲット・工夫の説明を添えるほうが伝わります。
実績がないと、ポートフォリオを見せても依頼は来ませんか?
実績がないことだけで、依頼の可能性がなくなるわけではありません。
必要なポートフォリオが用意できていれば、実績がなくても受けられる案件はあります。
クラウドソーシングやスキルマーケットで小さな仕事を受けることは、納品まで仕上げる練習や、やり取りに慣れる期間にはなりますが、その順番どおりに進まなければならないわけではありません。
目的のある想定案件の作品をそろえておくことが、最初の一歩になります。
SNSのアカウントをポートフォリオの代わりにしてもいいですか?
おすすめしません。
SNSの投稿は時系列で流れ、仕事に近い作品を選んで見せることも、目的や工夫を説明することも難しいからです。
SNSで得られるのは閲覧数やコメントといった読者としての反応までで、購買意欲につながったかどうかや、プロから見た評価は返ってきません。
SNSは入口として使い、作品は別にポートフォリオとしてまとめましょう。
ポートフォリオはどのくらいの頻度で更新すればいいですか?
新しい作品ができたときに、いちばん弱い作品と入れ替えるのが基本です。
目安として、数か月に1回は全体を見直し、いまの絵柄と大きく違う古い作品が残っていないか、連絡先や対応できる仕事の範囲が最新になっているかを確認しましょう。
漫画とイラストの両方を載せてもいいですか?
載せて問題ありません。
ただし、ページを分けるか、作品一覧で種類ごとに分けて並べ、どちらの依頼も受けられることが分かるようにしておきます。
広告漫画のように構成から任せたい仕事がある場合は、漫画の作品にネームや構成メモも添えておくと、任せられる範囲が伝わります。
絵を描く仕事の種類を広く知りたい方は、絵を描く仕事の種類も参考にしてください。
ポートフォリオを作ったら、どこに見せればいいですか?
受けたい仕事の発注者がいる場所です。
広告漫画であれば、漫画を使った広告やLPを制作している会社や、販促に漫画を使いたい企業が相手になります。
漫画を副業として始める流れは漫画を副業にする始め方でまとめています。
まとめ
- 依頼を受けるためのポートフォリオは、絵の上手さより「自社の仕事に置き換えた姿」を想像してもらうための作品集
- 作品は受けたい仕事に近いものを厳選し、種類ごとに3〜5点、最初の3点に代表作を置く
- 作品ごとに目的・ターゲット・工夫・担当範囲を書き、工夫には理由まで添える
- 実案件が無いときは想定案件で目的のある作品を作り、想定案件だと明記する
- PDFは相手ごとに組み替えて送り、Webは名刺代わりに常に最新にしておく
- 受託作品・二次創作・AI生成物は、契約と依頼主の許可を確認してから載せる


