通信制高校のデメリット7つ|公的データで見る判断基準【2026年9月】

学校・進学公開 2026-09-11まなびの選び方編集部

本記事にはプロモーション(広告)が含まれています。掲載する料金・サービス内容は公式サイトの公開情報を2026年9月に確認したものです。

通信制高校のデメリットは、気持ちの問題ではなく仕組みから生まれます。
登校が少ないぶん単位を自分で積む負担が重く、進路データは全日制と差があり、学費は「学校の授業料」だけでは終わりません。
この記事では、文部科学省の学校基本調査と東京都が公表した学費資料をもとに、不利な点を数字で分解し、どういう条件ならデメリットにならないのかまで整理しました。

この記事でわかること

  • 通信制高校のデメリット7つと、その根拠になっている公的データ
  • 課程別の卒業後の進路。通信制は「左記以外の者」が28.2パーセント
  • 在籍していても1科目も単位を修得していない人が2割いること
  • 大学進学率を見るときに分母がずれる4つのパターン
  • 公立、私立、サポート校併用で学費がどこまで変わるか
  • デメリットが自分に当てはまるかを判定する質問

この記事は不利な点と判断基準に寄せています。
制度そのもの(卒業に必要な単位、スクーリングの回数、就学支援金の仕組み)を先に押さえたい人は通信制高校とは(学費と選び方を公的データで整理)から読むと早いです。

通信制高校のデメリットは大きく7つ

通信制高校のデメリットは、「学び方が自由である」ことの裏返しとして発生するものと、「制度の外側にある費用」から発生するものの2種類に分かれます。
先に7つを並べます。

デメリット何が起きるか根拠にしたデータ
1. 単位を自分で積む負担が重い提出物が止まると、その年度の単位がまったく増えない単位修得者の割合は公立57.2パーセント、私立85.7パーセント(令和5年度間)
2. 先生や同級生と会う時間が構造的に少ない質問や相談のきっかけが自分から作らないと発生しない面接指導はメディア学習で最大10分の8まで免除できる
3. 大学受験の準備が学校の中だけで完結しにくい塾や予備校の費用が別に必要になる場合がある課程別の大学等進学者の割合は通信制26.5パーセント、全日制62.7パーセント(令和5年度間)
4. 学費が「学校の授業料」で終わらない通学コースやサポート校の費用が別建てで乗る都内私立通信制24区分の平均で、初年度納付金の約4割が授業料以外(令和8年度)
5. 進路実績を学校同士で比べにくい分母のそろっていない数字を並べることになる通信制は「左記以外の者」が28.2パーセント(令和5年度間)
6. 学校数が急増し、情報の粒がそろっていない卒業生の実績がまだ無い学校が候補に混ざる通信制の学校数は前年度から25校増加、うち24校が私立(令和8年5月1日現在)
7. 就学支援金が使えない条件がある学費の見積もりが数十万円単位で狂う既卒者、在学期間が通算4年を超える人は対象外

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出典: 文部科学省「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 審議まとめ参考資料集(別添資料2)」 https://www.mext.go.jp/content/20250212-mxt_koukou01-000040207_03.pdf / 同「令和8年度学校基本統計(学校基本調査の結果)速報値」 https://www.mext.go.jp/content/20260826-mxt_chousa01-000050842_01.pdf / 東京都「令和8年度 都内私立高等学校学費一覧」 https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/12/2025121819 (いずれも2026年9月確認)

この7つのうち、1から3は本人の状況で重さが変わります。
4と7はお金の話なので、申し込み前に書き出せば回避できます。
5と6は学校選びの手順の問題です。
つまり7つのうち4つは、調べる順番を変えるだけで小さくできます。残る3つが自分にとってどれだけ重いかを判断するのが、この記事の目的です。

「デメリットが無い」と書いてある情報は疑う

通信制高校を紹介するページの多くは、学校自身かサポート校が運営しています。
デメリットの章があっても、そのあとに自校の対策が続く構成が普通です。
編集部が主要キーワードの上位ページを読んだ範囲でも、デメリットを挙げたうえで「当校ではこう解決しています」と結ぶ形が大半でした。
書いてある内容が間違っているわけではありませんが、数字の分母までさかのぼって確かめているページはほとんどありません。この記事で分母の話に紙幅を割いているのはそのためです。

データで見る。全日制との差はどこに出るか

まず在籍者の規模を押さえます。
文部科学省が2026年8月26日に公表した学校基本統計の速報値(表1)によると、2026年5月1日現在の高等学校(通信制)の在学者数は31万1,792人で過去最多。
高等学校(全日制・定時制)は284万5,117人です。
学校数は358校で、公立83校、私立275校でした。

通信制はもう珍しい選択肢ではありません。
それでも卒業後の姿を見ると、全日制との差ははっきり出ます。

課程別の卒業後の状況

文部科学省の高等学校教育の在り方ワーキンググループがまとめた参考資料集に、課程別の卒業後の状況を並べたグラフがあります。
令和5年度間(2023年度)に卒業した人の、令和6年5月1日現在の状況です。

課程大学等進学者専修学校(専門課程)進学者就職者左記以外の者
全日制62.7パーセント15.4パーセント13.8パーセント4.3パーセント
定時制17.8パーセント18.7パーセント42.0パーセント16.6パーセント
通信制26.5パーセント22.3パーセント20.1パーセント28.2パーセント

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出典: 文部科学省「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 審議まとめ参考資料集(別添資料2)」36ページ「高等学校(課程別)の卒業後の状況(令和5年度間)」、出典表記は文部科学省「学校基本調査」 https://www.mext.go.jp/content/20250212-mxt_koukou01-000040207_03.pdf (2026年9月確認)。
グラフに数値が示されている区分のみを抜き出したため、各行の合計は100パーセントになりません

目を引くのは最後の列です。
同じ資料の注記では、「左記以外の者」を家事手伝いをしている人、外国の学校に入学した人、進学でも就職でもないことが明らかで進路が未定の人と定義しています。
通信制ではこれが28.2パーセントで、4つの区分のうち最も多い。
全日制の4.3パーセントと比べると6倍以上です。

この数字をどう読むかで、記事の立場が分かれます。
煽る側は「3割が進路未決定」と書きます。
学校側は「多様な進路を選ぶ生徒が多い」と書きます。
編集部の読み方は3つめです。通信制は、卒業した時点で進路が決まっていない人が一定数いる前提の課程だということ。就職も進学もしない状態が18歳で始まるリスクを、入学前に家族で話しておく価値があります。

単位を1つも取れない年がある

卒業前の段階にも差があります。
同じ参考資料集には、通信制課程の単位修得者の割合が載っています。
令和5年度間の数字は、公立通信制が57.2パーセント(3万2,023人)、私立通信制が85.7パーセント(19万3,151人)、合計で80.0パーセント(22万5,174人)です。

区分単位修得者数単位修得者の割合
公立通信制3万2,023人57.2パーセント
私立通信制19万3,151人85.7パーセント
合計22万5,174人80.0パーセント

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出典: 文部科学省「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 審議まとめ参考資料集(別添資料2)」32ページ「通信制課程の単位修得者割合(公私別推移)」、出典表記は文部科学省「学校基本調査」 https://www.mext.go.jp/content/20250212-mxt_koukou01-000040207_03.pdf (2026年9月確認)。
割合の分母は、その年度の5月1日時点の在籍生徒と他校からの併修者に年度途中入学者を加え、年度間退学者を引いた数です

単位修得者とは、その年度に1科目以上の単位を修得した人です。
つまり通信制に在籍していた人の約5人に1人は、その年度に1科目も単位を取れていないことになります。
公立に限れば、4割以上がそうです。

これが1つめのデメリットの実体です。
全日制なら、席に座って授業を受けているだけで学習は進みます。
通信制では、レポートを出さなければその科目は何も起きません。
止まっていることが誰の目にも見えないまま、1年が過ぎます。「自己管理が必要」という抽象的な注意書きは、この数字のことを指しています。

公立と私立の差にも意味があります。
同じ資料の31ページにある履修者の割合は、令和6年5月1日現在で公立通信制が73.8パーセント、私立通信制が98.1パーセントです。
公立は在籍していても1科目も履修登録していない人が4分の1いる計算になります。
学費が安いことだけを理由に公立を選ぶと、この構造に自分も入る可能性があります。

「やめとけ」と言われる5つの理由を、事実と印象に分ける

検索すると「通信制高校はやめとけ」という言葉が並びます。
言われている中身を5つに分け、公的データで確かめられるものと、そうでないものを分けます。

理由1: 学歴として不利になる

これは制度上は正しくありません。
文部科学省のよくある質問は、通信制高校を卒業した場合の最終学歴について「全日制高校や定時制高校と同じ『高等学校卒業』になります」と回答しています。
学校教育法第一条に定められた高等学校であり、卒業証書の記載に課程の別は関係しません。

ただし、卒業後のデータに差があることは前の章のとおりです。学歴の呼び名は同じで、進路の分布は違う。この2つを混ぜて語ると話が噛み合いません。
「不利になるか」ではなく「卒業までに何を積むか」で考えるほうが実利があります。

理由2: 自己管理ができないと卒業できない

これは事実に近い指摘です。
単位修得者の割合が80.0パーセントという数字が示すとおりで、通信制の大半は単位制なので留年はありませんが、修得できなかった科目は翌年度に持ち越します。
持ち越しが積み上がると、3年での卒業がだんだん遠のきます。

対策は精神論ではありません。
レポートの提出状況を家族が見られる仕組みがあるかを、学校選びの条件に入れることです。
生徒本人のマイページしか無い学校と、保護者向けに提出状況を共有する学校があります。
見学のときに画面を見せてもらってください。

理由3: 友達ができない

会う機会が少ないのは構造上そうなります。
文部科学省の説明では、多様なメディアを利用した学習で報告課題を提出し成果が認められると、面接指導の時間数のうち10分の6以内が免除され、特に必要がある場合は複数のメディアを合わせて10分の8以内まで免除できます。
登校を減らせる仕組みが制度として用意されている以上、同じ教室で過ごす時間は全日制より短くなります。

一方で、高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインは、面接指導について「個々の生徒に応じたきめ細かな指導が行えるよう、少人数で行うことを基本とすること」とし、同時に面接指導を受ける生徒数は多くとも40人を超えない範囲で設定するよう求めています。
人数が少ないので、話す相手が固定されやすいという面もあります。
人間関係が薄いか濃いかは学校とコース次第で、「通信制だから友達ができない」は言い過ぎです。

理由4: 大学受験で不利になる

学校の中だけで受験準備が完結しにくいのは事実です。
通信制の正規の教育課程は、添削指導、面接指導、試験で構成され、これに多様なメディアを利用した指導が加わります。
授業時間そのものが全日制より短いので、受験対策は通学コースや外部の塾で補う設計になっている学校が多い。

ここで効いてくるのが費用です。
学費を抑えるつもりで通信制を選び、受験対策のために予備校へ通うと、合計額が私立の全日制に近づくことがあります。「学費が安い」は、受験する場合には成り立たないことがある。大学進学を前提にするなら、高校の学費と受験対策費を最初から合算して比べてください。

理由5: 学校によって質にばらつきがある

これも背景があります。
文部科学省が高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドラインを平成28年9月に策定し、平成30年3月、令和3年3月、令和5年2月に一部改訂してきたのは、学校運営を適切にするための指針が必要だったからです。
ガイドラインは、添削指導について「マークシート形式のように機械的に採点ができるような添削課題や、択一式や短答式の問題が大勢を占めるような構成の添削課題は不適切であること」と明記し、年度末や試験前にまとめて課題を提出させる運用を行わないよう求めています。
逆に言えば、そうした運用が実在したということです。

学校数は今も増えています。
令和8年度の学校基本統計では通信制の学校数が前年度から25校増え、そのうち24校が私立でした。
開校して間もない学校には、卒業生の進路データがまだありません。
新しさ自体は欠点ではありませんが、比べる材料が少ない状態で選ぶことになります。

出典: 文部科学省「よくある質問」 https://www.mext.go.jp/tsushinseikoukou/faq/ / 同「通信制高校とは?」 https://www.mext.go.jp/tsushinseikoukou/about/ / 同「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン(令和5年2月一部改訂)」 https://www.mext.go.jp/content/20230228-mxt_kouhou01-100002270_1.pdf / 同「高等学校通信教育の質の確保・向上」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/1403642.htm (いずれも2026年9月確認)

大学進学率は分母で変わる。進路実績の見方

ここが、通信制高校を比べるときにいちばん誤解が起きる場所です。
学校のパンフレットに載っている「大学進学率」と、文部科学省の統計に載っている数字は、分母も定義も違います。
ずれ方は4通りあります。

ずれ方1: 「大学等進学者」には大学以外が入っている

学校基本調査の「大学等進学者」の定義は広いです。
前に引いた参考資料集の注記では、大学(学部)、短期大学(本科)に加えて、大学と短期大学の通信教育部(正規の課程)、放送大学の全科履修生、大学と短期大学の別科、高等学校の専攻科、特別支援学校高等部の専攻科へ進んだ人と、進学かつ就職した人を含むとされています。

つまり通信制の26.5パーセントには、働きながら大学の通信教育部で学び始めた人も入っています。
全日制のイメージで「26.5パーセントが大学に通っている」と読むと、実態とずれます。
逆に、通信教育部や放送大学を最初から進路として考えているなら、この数字はむしろ現実的な選択肢の広さを示しています。
卒業後に働きながら学ぶ道を具体的に比べたい人は、通信制大学とは(学費・卒業率・選び方)通信制大学の一覧(分野別の学費と総額)を高校選びの段階で見ておくと、進路の幅が読めます。

ずれ方2: 進路が決まった人だけを分母にすると跳ね上がる

通信制の「左記以外の者」は28.2パーセントでした。
この人たちを分母から外すとどうなるか、同じグラフの数値で計算します。

分母の取り方通信制の大学等進学者の割合全日制の大学等進学者の割合
卒業者全員(公表値)26.5パーセント62.7パーセント
「左記以外の者」を除いた人数(編集部の計算)約36.9パーセント約65.5パーセント

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出典: 文部科学省「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 審議まとめ参考資料集(別添資料2)」36ページの公表値から編集部が計算(2026年9月確認)。
26.5を(100から28.2を引いた値)で割り、62.7を(100から4.3を引いた値)で割った参考値です

10ポイント以上動きます。
全日制は3ポイントしか動きません。同じ学校の同じ卒業生でも、分母を「進路が決まった人」に変えるだけで通信制の進学率は跳ね上がる。学校の資料に「進路決定者に占める割合」「進学希望者のうち」と書いてあったら、この操作が入っていると考えてください。
嘘ではありませんが、他校の公表値と並べて比べられる数字ではありません。

ずれ方3: 卒業できなかった人は分母から消える

進学率の分母は卒業者です。
年度内に単位を修得できず在籍が延びた人、途中でやめた人は、その年の卒業者に入りません。
単位修得者の割合が80.0パーセントという数字を思い出してください。
入学した人のうち何割が3年で卒業しているかは、進学率とは別に聞く必要があります。

質問の形も決めておくと楽です。
「今年の卒業者は何人ですか」「3年前の入学者は何人でしたか」の2つを聞けば、おおよその歩留まりが見えます。
転入や編入で人数が動く学校では正確な率にはなりませんが、桁が分かれば十分です。

ずれ方4: 合格実績は延べ人数かもしれない

「大学合格者数」と「大学進学者数」は別物です。
1人が5学部に合格すれば合格者数は5になります。
指定校推薦の枠数を実績として載せている資料もあります。
枠は使われた数ではありません。

学校説明会で進路の話になったら、この形で聞いてください。
1. 昨年度の卒業者は何人でしたか
2. そのうち大学(学部)へ進んだ人は何人でしたか
3. その中に大学の通信教育部や放送大学の全科履修生は含まれますか
4. 掲載されている合格実績は、延べ人数ですか実人数ですか
この4つに即答できる学校は、数字を管理しています。
答えられない学校が悪いわけではありませんが、その資料で他校と比べるのは無理だと分かります。

比べ方が決まったら、あとは候補を並べる作業です。
学校ごとにサイトを回る前に、資料を何校分か手元にそろえたほうが早く進みます。なるには進学サイトで通信制高校の資料請求を見る

学費のデメリット。公立、私立、サポート校でどう変わるか

通信制は学費が安いと言われます。
半分は正しく、半分は条件つきです。
分けて見ます。

公立の授業料は就学支援金でほぼ相殺される

東京都教育委員会が公開している都立高校の授業料・入学料(令和7年4月1日現在)では、通信制課程の授業料は1単位につき336円に履修単位数を掛けた額、入学料は500円です。
全日制の年額11万8,800円と桁が違います。

さらに、文部科学省が公表している令和8年度の就学支援金の資料では、公立通信制の支給限度額は単位制授業料の場合で1単位あたり336円です。
都立の授業料単価と一致します。
つまり公立の通信制は、就学支援金を申請すれば授業料の自己負担がほぼ残らない設計です。
残るのは入学料500円と教科書代、交通費です。

私立は同じ学校の中でも学費が数倍ちがう

私立は学校ごと、コースごとに決まります。
東京都が令和7年12月18日に公表した「令和8年度 都内私立高等学校学費一覧」には、通信制課程の学費が学校とコース区分ごとに載っています。
編集部がこの一覧から通信制課程の全区分を書き出して集計しました。
対象は8校24区分です。

集計項目初年度納付金の総額該当する区分
最も低い111,000円科学技術学園 普通科 学年制 一般
中央値416,000円24区分の中央
平均462,475円24区分の単純平均
最も高い828,000円科学技術学園 普通科 週4日通学コース

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出典: 東京都「令和8年度 都内私立高等学校学費一覧(非募集校を除く)」の通信制課程の記載から編集部が集計 https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/12/2025121819 (2026年9月確認)。
初年度納付金の総額は授業料、入学金、施設費、その他の合計で、検定料と寄附金は含みません。
就学支援金を差し引く前の金額です

最も低い区分と最も高い区分が同じ学校だという点に注目してください。
科学技術学園高等学校は、学年制の一般が11万1,000円、単位制で通学型クラスを付けると63万円、週4日通学コースだと82万8,000円です。学校を選んだ時点では学費は決まらず、コースを選んだ時点で決まる。「あの学校は安い」という評判は、どのコースの話かを確かめないと意味がありません。

就学支援金は授業料にしか効かない

ここが学費のいちばん誤解されやすい点です。
文部科学省の就学支援金のQ&Aは、支援金について「学校設置者(都道府県や学校法人など)が、生徒本人に代わって受け取り、授業料に充てることになります」と説明しています。
対象は授業料です。
入学金、施設費、通学コースの費用は対象外です。

先ほどの24区分を、授業料と授業料以外に分けて集計しました。

内訳24区分の平均就学支援金の対象
授業料279,517円対象(私立通信制は年額33万7,200円が上限)
授業料以外(入学金、施設費、その他)182,958円対象外
初年度納付金の総額462,475円約4割が対象外

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出典: 東京都「令和8年度 都内私立高等学校学費一覧(非募集校を除く)」の通信制課程24区分から編集部が集計 https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/12/2025121819 / 支給上限額は文部科学省「高等学校等就学支援金等」令和8年度予算額の資料 https://www.mext.go.jp/content/20260616-mxt_shuukyo03-100002595_7.pdf (いずれも2026年9月確認)

平均で18万2,958円が、支援金と関係なく必ず出ていく計算になります。
授業料以外が最も大きい区分は44万円でした。「授業料が実質無料」という案内を見たら、無料になるのは総額の6割だけと読み替えてください。
なお、令和8年4月からの新制度で所得制限は撤廃され、私立通信制の支給上限は年額33万7,200円です。
24区分のうち授業料がこの上限を超えるのは5区分でした。

登校日数を増やすと、支援金の効かない費用が増える

コースで学費が変わる構造を、1校の公式サイトで確かめます。
NHK学園高等学校の学費ページ(2026年9月確認、税込表示)では、スタンダードコースの入学金は5万円(推薦入学は1万5,000円免除で3万5,000円)、授業料は1単位12,000円で、11科目24単位を履修する場合は28万8,000円です。
授業料とは別に納める費用は、施設設備充実費2万円、教育運営費4万円、生徒会費2,000円の合計6万2,000円に教材費が加わります。

同校の「登校プラス」を付けると、この授業料以外の部分が変わります。

コース授業料以外の1回目納入額授業料(24単位の場合)スタンダードとの差
スタンダードコース62,000円+教材費等288,000円基準
週1登校プラス207,000円+教材費等288,000円+145,000円
週2登校プラス297,000円+教材費等288,000円+235,000円
週3登校プラス367,000円+教材費等288,000円+305,000円

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出典: NHK学園高等学校「スタンダードコース 学費」 https://www.n-gaku.jp/sch/guidelines/fee_standard/ / 同「登校プラス 学費」 https://www.n-gaku.jp/sch/guidelines/fee_school-attendance-plus/ (いずれも2026年9月確認、税込)。
同校は「高等学校等就学支援金の対象となるのは『授業料』です」と明記しています

増える分はすべて授業料以外です。
週3日通うことにすると、支援金が1円も効かない費用が年に30万5,000円上乗せされます。
通う日数を増やすのは悪い判断ではありませんが、登校日数はそのまま自己負担額です。本人が週何日動けるかを先に決めてからコースを選ぶ理由がここにあります。

サポート校を併用するときに確認すること

通信制高校とは別に、学習や生活を支える「サポート校」に通う選択肢があります。
名前が似ているので混同されますが、制度上の位置づけがまったく違います。

サポート校だけでは高卒資格にならない

文部科学省は、通信教育連携協力施設を2種類に分けています。
面接指導や試験の実施に協力する「面接指導等実施施設」と、進路相談や添削指導の事務などを支援する「学習等支援施設」です。
いわゆるサポート校は後者にあたり、それ自体は高等学校ではありません。

なるには進学サイトも「通信制高校と違い、サポート校のみでは高校卒業資格は取得できません」と明記しています。
サポート校に入るときは、提携している通信制高校にも同時に在籍する形になります。学籍は通信制高校にあり、サポート校は学籍の外側にある支援サービスという関係です。

費用は二重で、片方は支援金の対象外

文部科学省の就学支援金のQ&Aには、「サポート校については、就学支援金制度の対象ではありません。
通信制高校の授業料については、就学支援金制度の対象となります。」とあります。
併用すると、通信制高校の学費とサポート校の学費を両方払い、支援金が効くのは前者の授業料だけです。

文部科学省の通信制高校向けのよくある質問にも、本校の授業料とは別に「通信教育連携協力施設が独自に行う活動等に係る費用が発生する可能性がございます」と書かれています。
学校の資料に載っている学費が、どちらの分なのかを必ず確認してください。

学費を公表していないサポート校が多い

編集部が2026年9月に、名前がよく挙がるサポート校3校の公式サイトを見たところ、いずれも学費の金額をサイト上に掲載していませんでした。
トライ式高等学院、KTCおおぞら高等学院(屋久島おおぞら高等学校のサポート校)、Gakken高等学院(クラーク記念国際高等学校と連携)の3校です。
いずれも資料請求か個別相談で確認する案内で、トライ式高等学院は学費の水準について「私立の全日制高校と同程度です」と説明しています。

これは隠しているという話ではなく、コースと通う日数で金額が変わるためです。
ただし読者の側から見れば、サポート校は事前にサイト上で学費を比べられない。候補を絞る段階で相談の予約が要るということです。
時間がかかる前提で、早めに動いてください。

サポート校の見積もりをもらうときに、必ず分けて書いてもらう項目。
1. 通信制高校に払う学費(入学金、授業料、施設費、その他)
2. サポート校に払う学費(入学金、授業料、施設費、その他)
3. 1のうち就学支援金で減る見込み額
4. 教材費、行事費、交通費など年度中に追加で発生する費用
1つの合計額だけを見せられた場合は、内訳を出してもらってください。
合計が同じでも、支援金が効く部分の大きさで自己負担は変わります。

出典: 文部科学省「高等学校等就学支援金制度に関するQ&A」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342600.htm / 同「よくある質問」 https://www.mext.go.jp/tsushinseikoukou/faq/ / なるには進学サイト「通信制高校」 https://naruniha.com/school/school_type/sc51 / トライ式高等学院 https://www.try-gakuin.com/ / KTCおおぞら高等学院 https://www.ktc-school.com/ / Gakken高等学院 https://gakuin.gakken.jp/ (いずれも2026年9月確認)

デメリットにならない人と、なる人の分かれ目

ここまでのデメリットは、全員に等しく降りかかるわけではありません。
条件によってほとんど問題にならない人がいます。

デメリットが小さくなる条件

  • やりたいことが先にあり、高校の時間をそちらに回したい。競技、制作、資格、就労など目的が具体的なら、登校が少ないことはそのまま利点になる
  • 締め切りのある作業を、自分の判断で先に片付けた経験がある。レポートの提出は本人の段取りで決まる
  • 家族が提出状況を一緒に見られる。本人の意志だけに依存しない仕組みを作れるなら、単位修得のリスクは大きく下がる
  • 全日制に通うことで体調や気持ちが崩れる状態が続いている。この場合、全日制のほうが高いリスクを抱えている
  • 卒業後の進路として、就職や専門学校、大学の通信教育部を現実的に考えている。課程別の進路データと自分の想定が一致する

デメリットが大きく出る条件

  • 学費を抑えることが最優先で、私立の通学コースを選ぼうとしている。安さで選ぶなら公立通信制を先に調べるのが順序
  • 難関大学の一般選抜を目標にしているのに、受験対策費を予算に入れていない。学校の授業時間だけでは足りない前提で組む
  • 決まった時間に人がいないと生活が崩れる自覚がある。週5日のコースかサポート校の併用を前提に検討する
  • 部活動や学校行事を高校生活の中心にしたい。文部科学省のよくある質問でも、部活動や修学旅行、文化祭は「学校によっては」実施していると回答されている
  • 本人ではなく保護者だけが通信制を希望している。レポートを出すのは本人なので、動機が本人側に無いと2番目のデメリットが直撃する

中学生のうちから登校が難しい状態が続いているなら、高校を決める前に自宅での学習を支える手段も並べて考えてください。
家庭教師を使う場合の費用と、小中学生で在籍校の出席扱いが認められる要件は不登校の家庭教師の選び方にまとめています。
今、週に何日動けているかを記録しておくと、学校説明会でコースを相談するときの材料になります。

学校を決める前に確認する10項目

デメリットを小さくする作業は、見学と資料請求の段階でほとんど終わります。
順番に確認してください。

  • 週に何日なら登校できるかを、本人の言葉で決める(0日、1日、3日、5日のどれか)
  • その頻度で通える距離に面接指導等実施施設があるか。キャンパスや学習センターという名前でも、面接指導ができる施設とは限らない
  • スクーリングの日数、場所、宿泊の有無。本校が遠方なら交通費と宿泊費が別に乗る
  • 本体の学費と、コース費用やサポート校費用が別建てかどうか
  • 就学支援金の対象になる部分と、対象外の金額を分けて書き出す
  • レポートの提出状況を保護者が確認できる仕組みがあるか
  • 単位を修得できなかった場合の再履修の扱いと、追加費用の有無
  • 昨年度の卒業者数と、大学(学部)へ進んだ実人数
  • 合格実績が延べ人数か実人数か
  • 3年前の入学者数と昨年度の卒業者数(おおよその歩留まりを見る)

この10項目は、パンフレットだけでは埋まりません。
資料を取り寄せて空欄を作り、説明会で埋めていくのが早いです。
候補は3校から5校、同じ表に並べて比べてください。
1校ずつ順番に見ると、最初に見た学校が基準になってしまいます。

資料請求で候補を並べる

通信制高校とサポート校をジャンル別に分けて掲載し、複数校の資料をまとめて請求できるサイトを1つ紹介します。
順位ではありません。

通信制高校特集(なるには進学サイト)

  • 株式会社イーパスが運営する資料請求特化型の進学情報サイト。同社は事業紹介ページで、教育業界に特化して20年以上、学校の生徒募集を支援してきたと説明しています(2026年9月確認)
  • 「通信制高校」「通信制高校・サポート校」「サポート校」をジャンルで分けて掲載し、8つの地域ブロックと都道府県から絞り込めます。ページ内の学校をまとめて資料請求リストに追加できます(2026年9月確認)
  • 「通信制高校と違い、サポート校のみでは高校卒業資格は取得できません」とサイト上で明記。編集部が2026年9月に確認した時点で、通信制高校のジャンルに掲載されていたのは5校でした

向いている人: サポート校と通信制高校の違いを確認しながら、まず数校分の資料を手元に置きたい人。
掲載校数は多くないため、候補を広く集めたい場合は各校の公式サイトや学校説明会も併用してください

公式サイトで資料請求を確認する

よくある質問

通信制高校を卒業すると就職で不利になりますか

採用の場面で「高等学校卒業」の扱いが変わることはありません。
文部科学省のよくある質問も、最終学歴は全日制や定時制と同じ「高等学校卒業」だと回答しています。
ただし課程別の卒業後の状況を見ると、令和5年度間に卒業した通信制の人のうち就職者は20.1パーセントで、全日制の13.8パーセントより高い一方、進学でも就職でもない「左記以外の者」が28.2パーセントいます。
不利かどうかより、在学中に就職活動の支援をどこまでしてくれる学校かを確認してください。

通信制高校から大学進学はできますか

できます。
令和5年度間に卒業した通信制の人のうち26.5パーセントが大学等へ進学しており、文部科学省のよくある質問では令和6年度間の卒業者について約29パーセントが大学等へ進学したとされています。
ただしこの「大学等」には大学の通信教育部や放送大学の全科履修生も含まれます。
一般選抜で難関大学を目指す場合は、学校の授業時間だけでは足りない前提で、塾や予備校の費用を予算に入れて計画してください。

公立と私立ではどちらのデメリットが小さいですか

費用は公立が圧倒的に軽く、東京都立の例では授業料が1単位336円で入学料500円、就学支援金の限度額も同じ1単位336円です。
一方で、単位修得者の割合は令和5年度間で公立57.2パーセント、私立85.7パーセントと差があります。
サポートの厚みを費用で買っているのが私立という構図です。
自分で進められる自信があるなら公立、伴走が要るなら私立と考えると整理しやすくなります。

途中で合わなかった場合はどうなりますか

通信制の大半は単位制なので、修得済みの単位は残ります。
転入学や編入学では、前の学校の在籍期間や修得単位が通算されることが多い仕組みです。
ただし通算の可否と範囲は学校の判断なので、出願前に前籍校の在籍証明書と単位修得証明書をそろえて相談してください。
なお、高校の在籍期間が通算3年(定時制と通信制は4年)を超えると就学支援金の対象外になります。
学校を移る回数が増えるほど、この上限が近づきます。

サポート校に入らないと卒業できませんか

制度上は必要ありません。
サポート校は学習等支援施設であって、卒業要件とは関係ありません。
実際に多くの生徒が通信制高校だけで卒業しています。
迷う場合は、サポート校を使わずに入学して、途中から通学コースへ変更できる学校を選ぶ方法があります。
学期ごとにコースを変更できる学校もあるので、変更の可否と時期を入学前に確認してください。

まとめ

デメリットの大半は、入学前に「分けて書き出す」ことで小さくできます。
学費は授業料と授業料以外に分け、進路実績は分母を聞いて分ける。
この2つだけで判断の精度がまったく変わります。

  • 通信制に在籍していた人のうち、その年度に1科目も単位を修得していない人が約2割。公立では4割以上
  • 令和5年度間の卒業者では、通信制の「左記以外の者」が28.2パーセントで最も多い区分。全日制は4.3パーセント
  • 大学等進学者の26.5パーセントには、大学の通信教育部や放送大学の全科履修生が含まれる
  • 分母を「進路が決まった人」に変えると、通信制の進学率は約36.9パーセントに動く。学校資料の数字は分母を聞く
  • 都内私立通信制24区分の初年度納付金は11万1,000円から82万8,000円。平均の約4割は就学支援金の対象外
  • 登校日数を増やすと、支援金の効かない費用が増える。NHK学園の例では週3日で年30万5,000円の上乗せ
  • サポート校は就学支援金の対象外で、公式サイトに学費を載せていない学校が多い。見積もりは内訳で受け取る

数値と制度の説明は、2026年9月に文部科学省、東京都、各校の公式サイトで確認した公開情報です。
学費と制度は年度ごとに変わるため、出願前に必ず最新の情報を確認してください。